新種の虫だと思って育てたらUMAだった話。
椿
第1話
筆箱に消しカスの様な白い幼虫が紛れていた。
一瞬、消しカスかと思い、筆箱をひっくり返して出すと、何やらうにょうにょと動いているのに気が付いた。
(幼虫だ!)
虫が好きな私はそのまま幼虫を持ち帰り、観察するために虫かごに入れた。
名前は消しカスの様だから「カス」と名付けた。
カスは毎日よく葉を食べ、よく眠り、順調に大きくなっていった。
「元気に育てよー」
前に飼育していたカブトムシのカブが死んでからすっかりペットロスに陥っていた私にとって、カスは癒しの存在だった。
朝、学校に行く前と寝る前には必ずカスに話しかけたり、英会話の練習もカス相手にやっていた。
するとある日、夢にカスが現れた。
『僕、大きくなったよ!』
カスは無邪気な声をだしてぶにょぶにょと体を蠢かせる。
「凄いね!長生きしてね!」
『今のままじゃ、虫かごが小さ過ぎて死んじゃう…』
カスの悲しそうな、弱々しい声に私は飛び起きた。
(死んじゃう!?)
ベッドから飛び起き、虫かごを見る。
電気をつけると、明るくなったことに反応して、葉の上で寝転んでいたカスがコチラを見上げる。
(生きてる…良かった)
しかし、よくよく見れば最初に比べ、カスが成長した分、虫かごのスペースは狭くなっていた。
「虫かご変えるかー」
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