一章
第1話
暑苦しさに目を覚ました朱殷が目を開くと、そこにはよく鍛えられた褐色の肌の男の胸板があった。
(!?)
驚きで反射的に手でその男の胸を押すと、
自分の手だと思って動かしたはずの手は、いつもの血色の悪い青白い手ではなく、
まるでぬいぐるみの手の様に指が一本も無く、白い布に綿が詰められただけの簡素なものに変わっていることに気が付いた。
(~~~~~~!?)
大きな衝撃に、朱殷は思わず声を上げたが、
その声はまるで喉の中でせき止められている様で、少しも声が出せない。
驚きと恐ろしさでプルプルと小刻みに震えていると、顔を熱い手で覆われ、持ち上げられた。
すると視界がグルリと回り、次の瞬間朱殷の目には褐色の肌に色が抜けたようなサラサラの白い髪をした男の顔が映った。
「起きた?僕の声は聞こえる?」
男はサンストーンの様な瞳を揺らし、妙に熱を帯びた視線を朱殷に注いでくる。
(れ、恋さん!?)
「ああ…可愛い…そんなつぶらな瞳で僕を見つめて…君は僕にこれ以上どうされたいの?」
恋はうっとりとした表情に熱い眼差しで朱殷を見つめ、その熱く大きな手で朱殷の丸い背中を撫でた。
(ひぃ…!熱い!この人、手ぇ熱い!)
朱殷が恋の手の熱さにビクりと体を震わすと、恋は堪らずふっくらとした朱殷の体を抱きしめた。
(ひぃ〜!熱い!!燃える!!燃える~~~!!)
恋の熱い体に、ジタバタと短い手足をバタつかせる朱殷の一方で、恋はその口に妖しい笑みを浮かべていた。
「君はもう永遠に僕のものだ」
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