第28話
オリヴィエの勤めるこの村の学校は、一クラス40人程で、学年もバラバラだった。
小、中とこの村で学び、更に学を積む生徒は隣町の高校へと進学し、その先は更に都会の大学へと進むことになる。
しかしこの村で高校、大学へと進む子供は少ない。
本人達にその気がないこともあるが、それ以上に学ぶことというのは金銭を必要とするものだった。
ジルやオリヴィエは幸運にも自身の能力と、家柄も良く、当時学んでいた先生からも推薦を貰い、就職にも困ることはなかった。
若くして学を積み、故郷の唯一残る小さな学校へと教師となって戻ってきたオリヴィエは村人達から得ている信頼は厚かった。
「オリヴィエおはよう」
「おはよう」
「あら、どうしたんだい?今日は顔色が悪いように見えるけど…またクレマン家の坊ちゃんと朝まで飲んでいたのかい?」
「違うよ、俺は教師だからね、そこはわきまえてるよ。だけど今日はなんだか頭痛がしてね」
「そうかい、そんなんじゃ子供達の相手なんて出来ないだろう?学校へ行く前にクレマンさんとこに行ったらどうだい?」
「そうだね、そうするよ」
話しかけてきたのは、通勤途中にある駄菓子屋の老婆だった。
ほぼ毎日同じ時間に店の前を通りかかるため、老女と他愛のない会話をするのはもはやオリヴィエにとって日課となっていた。
が、しかしこの日ばかりは何故かこの老婆の声が嫌に頭に響き、とても鬱陶しく感じ、素っ気ない返事と表情で会話を切り上げてしまった。
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