第23話

オリヴィエは侵入する為、昼間に予め鍵を開けておいた窓から入り込み、噂の化け物がこの小さな教会の何処に隠れているのかと暗闇の中、キョロキョロと辺りを見渡した。



しかし、オリヴィエの目には月明かりを浴びた大きなステンドグラスが透き通った神秘的な輝きを床や壁の至る所に零し、その尊き神の姿をもう一つ写し出しているだけに見えた。



(…なにもいないのか…?)



オリヴィエは胸元に隠したナイフを握り締めながらゆっくりと教会内を歩き出した。



そうして、とうとう一周してしまうという所で、どこからか少女の様な声が響いた。



『貴方、誰?』



「!?」



静かな教会に突如として後方から響き渡った声に、オリヴィエは咄嗟に隠していたナイフを抜き出して振り返り、次に目にした少女の姿の美しさに息が止まった。

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