第21話

オリヴィエとジルの仲はこの時既に決裂していた。



それは、言うまでもなくエリックの死の原因についてだった。



エリックの死は、化け物にもたらされたと考えるオリヴィエに対して、ジルは真っ向からオリヴィエの考えを否定した。



不審な死が続いている事実は確かにある、しかしそうならば何らかの感染症などを疑うべきである、というのがジルの主張だった。



仮に教会に立ち入った人々が命を落としているのであれば、病の原因となるなんらかの病原菌があの教会付近に発生している可能性もあると、オリヴィエにそう言って聞かせた。



が、しかしその程度の言葉でオリヴィエの考えを揺るがすことは出来なかった。



「感染症!?バカバカしい!!大体エリックの死因を判定したのは誰だ?他でもない、お前んとこのご立派なお爺様だろ!?クレマン医師はなんて言った?"衰弱死"だ!!そう、衰弱死と言ったんだ!!あんな快活な男がだ!!文字通り血の気のひいた真っ白な顔で死んでたんだ!!孤児のお前には分からないだろうな!?小さい頃から一緒に走り回っていた友人がある日突然、いたって健康だったはずのその頬を黒くコケさせ、真っ白な顔で柩の中で眠った状態で再会する気持ちなんか!!そうだ、お前には分からない!!分かるはずがない、だからそう呑気なことを言っていられるんだ!!そうだろう!?」



激しい感情を一気に吐き出したオリヴィエは、この時から既に今後ジルがなんと言い、どんな行動を取ろうと関心を持たないようにすると決めていたのだった。

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