第18話

「不審な死…とはどんな風だったのですか?」



5人が話し込んでいると、ふと男の声がした。



(!?)



オリヴィエはその声を聞いて内臓が浮き上がるような感覚と、ジクリと心臓が痛んだ。



が、オリヴィエは他の4人にも、そして特に声をかけてきた男に気取られないよう、表面上、平静を装ってゆっくりとコーヒーカップに口をつけた。



オリヴィエが顔色を変えず、話しかけてきた男を振り返らずにいる中で、他の4人は話しかけてきた男に釘付けとなっていた。



「貴方は確かあのクレマン家に養子に来た…」



「ええ、そうです。僕のことを知ってくださっているなんて光栄です。ジルです、よろしく」



「いやあ!アンタみたいな優秀な人と話せるなんて俺達の方こそ光栄だよ!」



「いつもオリヴィエから話は聞いてるよ、大学時代同じ宿舎にいたんだろう?」



そうニコラがオリヴィエの名前を出した時、オリヴィエの右眉がピクリと動いたが、誰もそんな些細なことには気付かなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る