第15話

オリヴィエは、神父が首を横に振った瞬間、既に諦めていたが、少年の言葉に「確かにそうだね」とにこやかに微笑む神父を見てしめたと思った。



「オリヴィエさんどうぞ☆」



少年は古い扉をその小さい手で開き、オリヴィエを中へと招き入れる。



「この教会はけして大きくはないけれど、ステンドグラスがとても美しいでしょう?♪だから僕は新しい教会より、こっちの方がずっと好きなんだ☆」



「そうなんだ」



オリヴィエは自分を先導しながらしきりに話しかけてくる少年に適当に相槌を打ちながら、手近にあった窓の鍵をそっと開け、目だけを動かして窓の位置を確認する。



(神父がわざわざここに来ているということは、夜には鍵をかけていく可能性があるしな)



オリヴィエは目的を達成した瞬間、少年の声が鬱陶しく感じ始め、オリヴィエはとうとう用事を思い出したと言って、教会を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る