一章

第2話

麗らかな春の日、オリヴィエはある友人の葬儀に参列していた。



深く深く掘られた墓穴に、友人の遺体とと共に沢山の白い花が敷き詰められた柩がゆっくりと下ろされる。



参列者達の啜り泣く声を聞きながら、オリヴィエは空虚な表情でどんどんと柩に土がかけられていくのを見つめていた。



(エリック…どうして…)



亡くなった友人のエリックは、明るく活発であった。



しかし、ある時を境に次第に誰にも顔を見せることがなくなり、廃人と化してしまったのだ。



最初誰もが彼のその様子に「失恋でもしたのだろう」と思い、心の傷が癒えるまでそっとしておこうということになった。



エリックは元来、子供の頃から恋の多い男で、積極的に女の子に愛を告白しては振られ、その度に引きこもる癖があったからだ。



しかし、彼が引きこもってしまってから約2週間が経った頃、彼の意中の相手を友人仲間の誰も知らないことに気が付いた。

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