2.2 人力飛行機活動の変遷 (2.2.3)

2.2.3 人力飛行機活動への参加者の変遷


 ここまで見てきたように、2000年代中盤に大会参加者数はピークとなり、その後は4割程参加者数が減少して安定している。減少の大きな理由はコロナ禍であるものの近年の超長距離のフライトが参加者数を抑える要因となっていることは否定できないと思われる。なお、数については多少回復するようにも見えるが、これはプロペラ機部門が日を跨いで開催してもさほどの否定的な意見が無いように見えることが理由として挙げられると考える。


 さて、少し記録の変遷に注目したい。まずプロペラ機の記録改善について公式ページの歴代ラインキング等から筆者の主観で代表的と言える記録を抽出した。ここで着目したいのは2010年代後半にいわゆるOBチームが記録を牽引したことである。ここに挙げた記録は、大学名がないチームはOBチームである。


 2023年 約70km (BIRDMAN HOUSE伊賀)優勝

 2019年 60km (BIRDMAN HOUSE伊賀)優勝

 2023年 約43km (東北大学Windnauts)

 2017年 40km (BIRDMAN HOUSE伊賀)優勝

 2008年 36km (東北大学Windnauts)優勝

 2003年 約35km (日本大学航空研究会 NASG)優勝

 2017年 約30km (ROKKO WORKS)

 1998年 約24km (エアロセプシー)優勝


 この時期、学生チームの進歩も著しく10km越えのチームが複数あるが、上記の2チームの成果は著しく、特にBIRDMAN HOUSE伊賀は東北大学Windnautsが15年かかった記録更新を4年で達成している。


 一方、滑空機については、長年、チーム三鷹茂原下横田が大会記録を保持していたところ、こちらも2022年にOBチームであるチームあざみ野が大会新記録で記録更新をしたことは記憶に新しい。なお、2024年にダイナミックソアリングを応用したのではないかと言われる飛行法により、大会記録を110m超更新してチーム三鷹茂原下横田が大会記録を奪還している。滑空機部門ではプロペラ機ディスタンス部門とは様子が異なり、学生チームの老舗である3チームが2番グループを形成している。チームあざみ野の例は部門では例外的と思われる。


 記録の面では一部のチームしか現れないが、実際、OBチームの参加数はどうなっているのかについて分析した。構成員が実際OBであるかを正確に知ることは困難であるが、筆者の主観により参加チームのべ210チーム中、17チームをOBチームと識別した。

 また、先に作成した活動時期のデータと重ねることにより、以下の結果を得た。なお、この結果はあくまで大会に参加したチームをベースにしており、これから参加する、あるいは参加する予定のないチームは含まないことに注意がいる。


(期間1)1998~2001 2.50チーム(社会人参加チームに占める割合12%)

(期間2)2002~2005 3.75チーム(社会人参加チームに占める割合25%)

(期間3)2006~2009 4.0-チーム(社会人参加チームに占める割合36%)

(期間4)2010~2013 5.50チーム(社会人参加チームに占める割合56%)

(期間5)2014~2017 6.75チーム(社会人参加チームに占める割合73%)

(期間6)2018~2021 8.25チーム(社会人参加チームに占める割合103%)※

(期間7)2022~2024 6.67チーム(社会人参加チームに占める割合111%)※

 ※大会参加していないチームが含まれるため、100%以上となる場合がある。

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