第7話

すると女は急に気分を害したようで、僕の胸を手のひらで叩くと、「帰る!恋なんて知らない!死ね!」と金切り声を出すと、店を飛び出して行った。



(やっと帰った)



一息つき、散らかったテーブルのグラスや皿を整えている僕のもとにすぐに後輩の男がやって来ては、「牡丹さんがすぐに事務室に来るようにと…」



と、少し気まずそうに耳打ちしてきた。



(まぁ、そうなるだろうな)




「お前!毎回毎回自分の太客怒らせるってどんな接客してんだ!トッププレイヤーの意識が足りねーんだよ!」



事務室に入るなり、牡丹の怒鳴り声が僕の耳を貫いた。



「あっはは、牡丹、そん大きな声出したらフロアまで響くよ?」



「〜〜!笑ってんじゃねぇ!少しは反省しろ!」



「……反省って言われても、横山嬢が急に怒り出したんだもん」



「"もん"じゃない!"もん"じゃ!お前は子供か!客を楽しませるのが仕事のホストが、客を不愉快にさせてどうすんだ!お前の今日の仕事は、コンビニの100円焼酎以下だ!」

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