第12話 闇の力
アランの魔法がシャスカーの攻撃を打ち消し、静寂が迷宮内に広がった。その静けさの中で、アランは改めてシャスカーの姿を見つめる。彼の目には、もはや人間的な感情は感じられなかった。代わりに、深い闇が宿り、アランの存在すら無意味に感じさせるような空気が漂っていた。
「君の力は確かに強い。」
シャスカーは静かに言った。その声には冷徹な響きがあり、まるでアランの存在が興味深い研究対象であるかのように感じさせた。
「だが、君がどれだけ力を尽くしても、この世界の法則を変えることはできない。」
「それはどうだろうな。」
アランは一歩踏み出し、杖を握り直した。その目は鋭く、シャスカーの挑発に動じることはなかった。
「お前の言う世界の法則なんて、俺には関係ない。俺が守るべきものがある。それを守るために、俺はどんな力でも使って戦う。」
シャスカーは冷笑を浮かべ、ゆっくりと手を広げた。
「ならば、試してみるといい。君がこの世界の法則を変える力があるのかどうか。だが、私が言った通り、この迷宮の力と闇の真理は、君の想像を超えている。」
その言葉を聞き、アランは少しの間目を閉じる。シャスカーの言う通り、この迷宮の力は尋常ではない。だが、アランはすぐにその気持ちを振り払った。彼が今すべきことは、恐れずに戦い、シャスカーの計画を打破することだ。
「お前が何を企んでいるのかは、もう十分に分かっている。」
アランは冷徹に言い放った。
「だが、それを俺は絶対に許さない。」
その瞬間、シャスカーの周囲に漂っていた闇が一層濃くなり、空間そのものが歪み始める。アランの目の前に現れたのは、彼が今までに見たこともないような巨大な影だった。それは、闇の真理を具現化したような存在であり、アランにとって計り知れない力を宿していると感じさせるものだった。
「これが…お前の求めていた力か。」
アランはその巨大な影を見上げながら呟いた。影は次第に形を成し、まるで意志を持つかのように動き始めた。
シャスカーは、その動きを見届けると、アランに向かって冷たい笑みを浮かべた。
「これが『闇の真理』だ。君がどれだけ力を振るっても、私の力には届かない。」
その言葉と共に、巨大な影が動き出し、アランに迫ってきた。アランはすぐに反応し、杖を高く掲げると、全身に魔力を集めて放った。光の波動がその影に向かって放たれたが、巨大な影はそれを受け止めるどころか、逆に光の魔法を吸い込んでしまうように感じられた。
「何だ…この力は。」
アランはその感覚に驚愕し、さらに魔力を集中させようとした。しかし、影はその力を吸収するばかりで、まるで無限に広がっていくような感覚を覚えさせた。
「君の魔法は私の力に対抗できない。」
シャスカーの声が響く。
「闇の真理は、世界そのものの法則を変える力だ。この力に逆らう者は、もはや存在しない。」
その瞬間、アランはシャスカーの言葉が全て嘘であることを感じた。この闇の力がどれほど強力であろうと、アランにはそれを打破する力があると確信していた。彼の背後には、守護の力が再び湧き上がっていた。
「お前が求める力を与えられるのは、俺の力に対してだ。」
アランは冷徹に言った。
「だが、俺はお前のような存在にはならない。」
アランはその言葉と共に、再び杖を振り上げた。そして、全身に力を集める。守護の力が一気に彼の体内を駆け巡り、杖から放たれる光の力が、迷宮全体を包み込んでいった。光と闇が激しくぶつかり合い、空間が崩れ始める。
その瞬間、アランはシャスカーの目を見据え、言った。
「これが、俺の力だ。」
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