なんでもない何でも屋

紀井ゆう馬

 ギィギィ、音を立てる車輪の大きな年代物のリヤカー。

 リヤカーに乗せているラジオが狂った音を掻き立てる。

 たまにぶぅんとした音に紛れ、

『明日の天気は晴れでしょう。気温は十二月上旬くらいだと見込まれます』

 キレイな声のアナウンサーさんが言ってくれた。

 ギィギィ、気の向くまま、風の向くまま。

 ギィギィ、どこへ、行こうか。

 ギィギィ、どこへ、行こうか。

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