さん文

熊猫ルフォン

或る秋の夕暮れ、鉄塔の向こうに沈みゆく太陽が、果ての空を淡黄色に染め上げていました。私の背中の方からは、夜の闇が深海の色を忍ばせて、南西の空をも覆い尽くそうとしています。二色の溶け合う辺りを見つめていると、細い針が宇宙から天蓋を突き刺したかのように、極小の白い穴が一つ、ぽつんとあいていて、それは星でした。私の探していた星でした。

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