第6話 本と空想に救われた日々

私が本と空想に救われた日々は、いじめの苦しみや孤独感に打ちひしがれた時期に遡ります。現実の世界では逃れようのない痛みがありましたが、本の中や自分の空想の中には、まるで違うルールで動く世界が広がっていました。その世界だけが、私の心を癒し、私を守ってくれる唯一の避難場所でした。


本を読むと、まるで物語の中の主人公と一緒に旅をしているような気持ちになり、別の人生を体験することで、現実の苦しさから一時的に解放されました。自分がどんなにつらくても、ページをめくるごとに新たな冒険や心温まる出会いが待っている本の中では、どんな痛みも一時的に忘れられたのです。本の登場人物たちは私の心の友であり、彼らと共に感じ、考え、成長することで、自分の痛みもまた少し和らいだ気がしました。


空想の中でも同じように、自由に何でも作り出せる世界がありました。現実には存在しない優しい場所や、誰にも傷つけられない安らぎの空間を思い描くことで、私自身の心を守っていました。そこには、私の話を聞いてくれる想像上の友達や、現実の痛みから遠く離れた平和な風景があり、ただそこにいるだけで気持ちが安らぐような気がしました。現実では得られない安らぎを、空想がもたらしてくれたのです。


私が本と空想に没頭していたその日々は、ただの逃避ではありませんでした。それは、自分を保つための大切なプロセスであり、傷ついた心を少しずつ癒す手段でもありました。物語を通じて学んだ登場人物たちの勇気や優しさ、強さは、私にとって生きるための手本となり、支えとなりました。そして空想の中で描いた美しい景色や優しい存在は、現実がどんなに暗くても、心の中に明かりを灯してくれるものでした。


大人になった今でも、私にとって本と空想は心の支えであり、どんなときでも頼れる存在です。現実の困難が再び立ちはだかる時、私は本の中に隠された知恵や空想の中にある自由を頼りにして、また一歩前に進む力を得ています。いじめや孤独を経験したからこそ、その分だけ本と空想に救われた時間がどれほど貴重であったかがわかるのです。


このエッセイを読んでくださる皆さんにも、自分だけの「救いの場所」を見つけていただけたらと思います。本や空想、あるいは音楽やアートといった他の何かが、皆さんの心の支えとなり、苦しい時に寄り添ってくれる存在となることを願っています。そして、それを持つことの素晴らしさや、その力に改めて気づいてもらえたら嬉しいです。

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