修学旅行かな?

 あの後全部の宝箱から出てきたものをざっと挙げると、素材代用チケット:上が28枚、速度系のスキルと相性がいい【ハイフィスツィーネサメの歯】と言う名前のナイフや、その他高レア度のポーションなどなど…まあとにかく有用なアイテムが沢山入っていた。

「いや~、結構な数のアイテムだったね」

「それもこれも全部、かなり役に立つ物ばかりですね」

「やっぱり、あの数の【纏盾シールダー】と【模倣者デミウルゴス】を相手にしたからかな?」

「それもあるかもね~。………それじゃ、一旦休憩にしよっかぁ~」

「そうしましょうか…流石に色々ありすぎました…」

 そうしましたらインベントリから取り出したるは【簡易拠点テント】。

「おぉ、流石リリィさん。準備が良いね」

「【簡易拠点テント】なんて久しぶりに使いますね…」

 これは文字通りの簡易拠点。前哨基地みたいに武器の修理をしたり物を買ったりはできないけれど、基本的にここの中は安全。

 これ一つでインベントリ容量をそこそこ取ってしまうので、正直なところ持ってくる人はそんなにいない印象かな。

「リリィさんといると、こうやってインベントリを圧迫せずに【簡易拠点テント】を使えるからお得だよね」

「リリィさんのインベントリって一体何が入ってるんでしょうか…」

「ん~、特にこれと言って特別なものはないよ~?」

「本当ですか?」

「本当だよ、嘘を吐く必要なんてないって」

「…まあ、ですよね」

「ほらほら、二人とも離れて、【簡易拠点テント】展開するから」

 2人が私から距離を置いたのを確認して、テントを出す。最初はアタッシュケースみたいな小さな箱だけど、箱を開いて数秒待つと【簡易拠点テント】が自動的に展開される。

「便利だよね~」

「本当ですよね」

「なくても良いけどあるとより良いのが【簡易拠点テント】だからね」



 【簡易拠点テント】の中身は単純なもの。基本的にはベッドだけ。カスタマイズもできない事はないけど、自由度はかなり低めかな。

「リリィさんの【簡易拠点テント】って、結構簡素ですよね」

「まぁね」

「でもなんとなくリリィさんならこういう所になにもしなさそうっていうのは分かる」

「あ、その気持ちわかります!」

 などなど、なんだか私の話題で盛り上がっているのに、当の本人はその話に入れない謎の疎外感を感じながらも、楽しそうな2人を見て『まあいっかぁ〜』と思う自分がいた。

「そういえば、純白ちゃんはなんでいつも白い装備ばっかり着てるの?」

「う〜ん…まあこの色が一番…落ち着く、っていうか、見慣れてるっていうか…そんな感じかな」

「そうなんですか?」

「うん。私、小さい頃は体が弱くってさ、ずぅっと入院してたんだ。だからこう…病院の壁とか天井とか、或いはベッドとか…至る所が白だったからね。だから、見慣れてるというか、安心する…そんな感じかな」

「なんか、思ってたよりも可哀想な理由だったね」

「聞いてよかったんですか…それ?」

「2人にはね。…ぶっちゃけ、今も体が丈夫かと言われると並以下ではあるよ。退院こそしたけどね。だから学校にも、そんなに行けてないんだよ」

「そうなんだ、学校に行けなくても勉強はちゃんとしておいた方が良いよ〜?将来、就く職によっては苦労することになるからね。…それじゃあさ、トキハちゃんはなんで剣道をしてるの?」

「私は…そうですね、祖父が剣道の師範をしていたらしいので…帰省するたびに祖父から教えられていたんですよ」

「へ〜、そうなんだ」

 トキハちゃんのおじいちゃん…、なんかちょっと厳しそうなイメージが湧いてくるなぁ〜。

「優しくもあり厳しくもある祖父の下で剣道をやっていたんですが…学校では特に剣道部に入ったりもしませんでしたね」

「へぇ、なんだか意外だね。トキハちゃん剣道の事好きだから剣道部の部長とかなのかと思ってたけど…」

「それでも、剣道部に何人か友達がいるのでたまに試合はしていますよ」

「ちなみに結果は?」

「今のところ全戦全勝です!」

 そう言ってトキハちゃんが誇らしげに胸を張る。

「すごいねトキハちゃん」

「まあでも…剣道をもっとしようと思ったのはリリィさんのお蔭ですよ」

「え、そうなんだ」

「はい。『いつか絶対にリリィさんに勝つ』って、そのために今は頑張ってます」

 おじいちゃんの道場を継ぐとかじゃないんだ…ある意味トキハちゃんらしいと言えばそうかも知れないけれどね〜。

「頑張って勝てるように応援してるよ〜トキハちゃ〜ん」

「いつか、絶対に勝ちますからね」

「うんうん、楽しみにしてるよ」

 まあでも、今のトキハちゃんなら私くらいちょちょいのちょいだと思うけどね。

「…それじゃあ、今度はリリィさんの番だね」

「私?私に聞かれる事なんてあるかなぁ〜…」

「それじゃあ…そうだね…なんで『リリィ』って名前にしたのか」

「あとなんで案内人になったのかも!」

「私だけ質問が2つ…人気だねぇ〜。いいよ、分かった。…それじゃあ、先にどっちから聞きたい?」

「じゃあリリィの由来からで」

「分かったよ〜。…そうだね…じゃあまず、『リリィ』ってどういう意味か分かる?」

「えぇっと…リリィ…lilly…『ユリ』ですか?」

「そう、正解。ユリのお花の事だよ」


――――――――

作者's つぶやき:ひどい内容配分を見た()

さて皆様に問題です。あずみんがリリィという名前にしたのはなんでなのか、考えてみてください。答えは次回出ると思います、多分。

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【ワルキューリァ・オンライン】案内人のダンジョン攻略記 ますぱにーず/ユース @uminori00

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