夏だ!海だ!水着だ!:5

「【剣術:反旗を翻す者レイジ・ア・カウンターアタック】!」

 【剣術・鎖は壊されたチェーンブロークン】との違いに関しては、こっちの方が成功判定がシビアな代わりにダメージを完全無効化するんだよね。

 【剣術・鎖は壊されたチェーンブロークン】はカウンターこそ出来るけど、ダメージが入らないこともないから…。

 こういうブレス系の攻撃に関しては相性がかなり悪いんだよね…。

 …まあ、それは置いておいて。

 この反旗を翻す者レイジ・ア・カウンターアタック、ダメージを完全に無効化したうえで、自分が受けるはずだったダメージの110%を相手にお返しすることが出来るんだよね。

「ブレスだから相当痛いんじゃないか………なっ!」

 ブレスが収まると同時に飛び上がり、【白銀龍クエレブレ】の胴体めがけて剣を振りかざす。

「だから…なんでそんな硬ったいのさ…!」

 これでも鱗に深く切り込みが入っただけで、鱗を貫通してはいない。

「全くも〜…硬すぎ!」

 硬すぎて笑えてきちゃうね、ほんとに。


「…トキハちゃん」

「どうしましたリリィさん?」

「その月夜深白端つくよのみしろぎ、ちょっと借りてもいい?」

「え?」

白銀龍クエレブレ】に有効打を与えられないのは多分、龍鱗剣だと鋭さが足らないからだと思うんだよね。月夜深白端つくよのみしろぎならその問題を解決できるはず。

「い、いいですけど…剣術スキルだとあまりうまく扱えないですよ…?」

「それは大丈夫。あんまし使いたくなかったけどやりようはあるから。【技術模倣スキルトレース】」

「あ…【技術模倣スキルトレース】…」

 その手があったか、と納得するように、トキハちゃんが何度も頷く。

 ただ、【技術模倣スキルトレース】で模倣できるのはランダム…【刀剣術】が当たって欲しいところだけど…。


〈〈───【刀剣術:疾風ハヤテ】を模倣トレースしました〉〉


「当たりゲット!」

 模倣トレースした一度きりの【刀剣術】…。威力は神速迅雷に比べたら劣るけど、これでも十分。…だから。

「ちゃんと喰らってね?【刀剣術:疾風ハヤテ】!」

 月夜深白端つくよのみしろぎと私の周りに気流が生まれて、ぐるぐると渦を描き始める。あ、鞘もらうの忘れちゃった、まあいいや。

 そのまま、勢いよく地面を蹴って───さっき傷をつけた鱗に目掛けて、刃を滑り込ませる。

「グァオォォォァォォァォ!!!!!」

 バタバタと暴れる【白銀龍クエレブレ】の首元から、刃が深く刺さった月夜深白端つくよのみしろぎを抜く。


「【空中跳躍】」

 トキハちゃんのもとに戻って、月夜深白端つくよのみしろぎを手元に返す。

「ありがとね〜」

「かなりダメージが入ってるね」

「あと一息というところでしょうか…」

「だね。【技術模倣スキルトレース】の博打に勝ったのが効いてる」

「やっぱり日頃の行いがいいからかな〜?」

「「………」」

「…え、なんで黙るの二人とも」

「…いや…別に…」

「特に…なんでもないですけど…」

 いやいやいや、絶対何かあるでしょその沈黙の仕方。何?濁されると余計に気になっちゃうんだけど。気になって夜も眠れないよ?

「…そんなに日頃の行い良い?リリィさん」

「悪いか良いかで言ったら圧倒的に良いでしょ」


 …なんて雑談もほどほどに。

「それじゃ、ラストスパートと行こうか~」

「了解です」



「あああああああああああ!!!!!!!」

 やばいやばいやばいやばい!終わった!オワタ!


 …俺がなんでこんなに発狂してるかって…?答えは簡単、とある三人組のせいだ。

『神速』のトキハ、『案内人』のリリィ。…そして…。

「なんで『伝説』のタリスタまでいるんだよぉ…………」

 絶望以外の何物でもないのである。

 っていうかなんで純白の悪魔が帰って来てんの…?聞いてないんですけど…?

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~………」

 いや?あのさ?頑張って【白銀龍クエレブレ】の個体厳選してさ?防御力高い個体を手に入れたのにさ?

 …こんな簡単に抜かれると思わないじゃん……………。やっぱりおかしいってあの3人。チーターよりチーターだよ…。

「いや、いやいやいや…」

 まだ、まだチャンスはある…。最後の関門はこの俺だからな…。

「どうやっても勝てるビジョンが———浮かぶ!浮かぶんだ!今の俺は無敵!(現実逃避)」

 …さて…。とは言ったものの、【白銀龍クエレブレ】が予想以上に善戦してるな…。

 やはり防御力が高い個体を厳選したのは正解だったか…。あの硬い鱗を一撃で貫通できるものはそうそうない。

『【聖剣術・断罪コンヴィクション】!』

『あはは~純白ちゃんやるねぇ~!』

『私も負けてられません!【刀剣術・神速迅雷】!』

 …そうそう貫ける物は…そうそう…貫ける…物は…。…なんか貫通されてない?

 OMG。

「(\(^o^)/オワタ)」

 もうお手上げだ。…どうしよ。

 …あぁ、そういえば…。今回のアップデートからNPCの側近が追加できるようになったんだったな。確か…そう。【淫魔族サキュバス】のキュリア。

「―――主様、そんなこの世の終わりのような顔をしてどうなさいました?」

 実際ほぼこの世の終わりに等しいんだよなぁ…。

「…いやぁ…このダンジョンに入ってきた人たちがあまりにも強すぎると思ってな…」

「…ならば、私が相手して参りましょうか?」

「いやいい。多分キュリア、君が戦って勝てる相手じゃない。ここに来たら、二人で共に戦うぞ」

「かしこまりました」

 …キュリアの実力は高い。…少し、勝機が見えた…か?


――――――――

作者's つぶやき:さてさて、勝てるのでしょうかね?

ちなみに側近くんにサキュバスを採用した理由ですが、なんかこう、ありきたりって感じがしません?

…と、長らく投稿をお休みしてしまって申し訳ないです。

風邪をひいていますので…少しばかり執筆活動にも影響が来ているんですよね…。

早めに治します…。

次回もお楽しみに。

っていうかいつになったらサマーダンジョンに行くんでしょうかね(小声

――――――――

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