第18話 川のサメ~リバーシャーク~

9日の昼頃である。

エルザの情報により、なんと! 拠点から100m程離れた場所に川を発見したと聞いた俺は急いで桶と水筒をもって現地に向かっていた。


「ふぅ~。 ここだ! どうだ? 川だろ! 私も初めて見た時は驚いたんだが…この森に川が流れているなんてな…」

「お、おぉ…か、川だ!」


森の中には青く透き通った汚れひとつない綺麗な川が存在していた。

始めは俺の幻覚かと疑っていたが、穏やかに流れる川のせせらぎ聞こえる。

思わず泣きそうになってくる…が、まずは始めに! 


「よし…洗濯と! 水浴びだ!」


1週間…軽い水浴びでなんとか過ごして来た俺は、我慢の限界のだったのだろう。

嬉しさのあまり、服を着たまま川へ飛び込んだ。


「ふぉ~!! か、川だぁぁぁ!」

「よし、んじゃ。 私も水浴びでもするか~! とぅ!」


バシャン!


そのままの恰好で飛び込んだエルザも俺同様に川を堪能し始めた。



―――――――――――――――――――


数十分後。


「さてさて…まじめにどうするか。 何かため池的な物をつくるのもありだな」

「ため池か。 果たして木材でできるのか…」

『不可能ではありませんが、水を拠点まで運ぶのが難しいでしょう。 100mはそれなりの距離です――時間もそれほど余裕はありませんし、何か輸送方法を考えなくては…』


すこしまえ、ナビに”木材を加工して”流しそうめんの容量で繋げるのは?何てことを言ってみたが、そもそも拠点までの高低差を作るためにどれだけの距離が必要になるのか? と怒られたっけな。


まぁ確かに…時間が無限にあるのなら、この方法も使えたんだろう。

だが、14日目を超えた頃に周囲に川がある保証はどこにもない…そんなリスクを負ってまでやる事じゃないよな。


「そうなると…やっぱりあれか…」

『でしょうね。 巨大浴槽の作成ですね』

「浴槽? 風呂を作るのか?」


エルザは首を傾げながら、なぜそんなものを今つくるのか?と言いたげな表情である。

いや、今はマジでこれが最適解か…なんて思い更けていたタイミングで突如アラートが鳴った。


ピピッ!

『マスター! 注意してください! こちらに急接近する熱源を探知しました!』

「!? 熱源!? どこに!?」

「……なんだ? 何処にもいないぞ? ナビ? どこにいるんだい?」


慌てて、表示されたディスプレイを見つめると確かにこちらに急接近する熱源を探知していた。

が…次の瞬間である。 状況を確認するよりも前に、目の前には黒い大きな背ビレが出現した。


「お、おい…あれって…」

「ん? なんだあれ?」


あのヒレを見ても呑気なエルザの表情からして、おそらく彼女はアレの存在を知らないのかもしれない。

いいや! もしかすると、水の中でそこそこ動けるエルザの事だ! 知ってて警戒していないパターンもありうる。


「というか、まて! サメだって! あれ! サメ、サメ、サメ! やばいって! 川にサメ居るって聞いてないんだけどぉ!!」

「サメ?」


未だ理解できていない様子のエルザはもう放っておくとして、動きが制限さてたこの状態では黄昏の機械トライライト・ギアでのカウンターもタイミングが難しい…。

それに、エルザは武器を川辺に置きっぱなしで素手でどうこうできる状態ではない。


いや?まてよ? 確かサメって鼻が弱点だったよな…という事は!


「よし。 一か八かだ! いくぞ! サメの魔物ぉぉ!」

『接近まで、3,2,1!!! 決ます』

「ウォォォォ! 間に合え! アタック――――」

「人間! 人間でござる! おーーーい! 人間様ぁぁぁぁ! おーーーい!」

「「…ん?」」


お前が喋ったのか?と言わんばかりの目線をエルザに向ける俺。

俺の顔を見てかエルザは首を横に振った。 

そしてもう一度俺は目の前から接近する青黒いヒレに注目する。


次の瞬間!!


さばん!!


飛び出て来たのは頭部が巨大な人型のサメだった。


「いや! サメじゃねぇか!!!」


ゴンッ!!


「ぐほぉっ!!!! 無念っ!!!」


―――――――――――――――――――――――――――――



ちょっと年末で忙しくなってきたので…2日1回更新になるかもです!

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