2 プロローグ

 窓の外は暗く、見ているだけで平衡感覚が狂いそうだった。


「無事、安定した宇宙空間渡航へ移行しました。乗組員のみなさまのシートベルトを解除します」


 無機質なAIの声が響く。船長室はあなた一人だ。この船には船長あなた以外にも二人の乗組員がいる。エンジニアとシェフだ。

 船長あなたの仕事はシェフをある星に送り届けること。そのために船長あなたとエンジニアは雇われた。しかし事前にトラブルがあったらしく、エンジニアは直前で変更になった。


 船長あなたはいまだ二人と顔を合わせていない。あなたは二人と顔を合わせるために、談話室へと向かった。


◇◇◇


 自動ドアが開き、談話室へ入る。

 談話室では二人の男が言い争いをしていた。


「ふざけるな! そんなことは船内エネルギーの無駄! 食事なんて宇宙行動食で十分だ!」


 緑色のツナギを着た男が叫ぶ。ゴーグルを首から掛けているところを見ると、エンジニアだろうか。


「そんなわけナイデス! 食事こそ生命の源泉、幸福の大前提! それをおろそかにするなど愚の骨頂デス!」


 白いコック帽に赤いスカーフ、いかにもシェフ然とした男が負けじとばかりに声を張り上げる。おそらくはこの男がコックだろう。


 どうやら、渡航中にエネルギーを大切にするか、食事を大切にするか言い争っているようだ。あなたが、二人を眺めているうちに言い争いはヒートアップしていく。


 ふたりが船長あなたをグリンと見て、聞いてきた。


「「船長はどう思う!!!!」」


シェフに味方する→3へ

エンジニアに味方する→4へ

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