卯
小生こう見えて交友関係は結構広い男でしてね?
勿論同性だけではなく異性の仲が良い友人もそれなりにいるんですよ。
その中の一人の花田くんのお話を今日はしましょうか。
性別はどっちかだって?
冒頭の意味をよく考えてください。
地雷系というファッションをこよなく愛する女の子ですよ。
彼女は可愛いものならばなんでも好きでよくピンクのフリフリワンピースやらハートが大きくあしらわれたバックやら可愛くデフォルメされた動物のキーホルダーやらを多く身につけていました。
そんな彼女の1番のお気に入りはうさぎだと言っていて彼女は壱人暮らしのペット可のアパートで白いうさぎの『みるく』と茶色いうさぎの『くるみ』という弐匹のうさぎちゃんと暮らしていました。
ペットショップで見つけた時からこのみるくとくるみは双子だったらしく白くて可愛い方はおねえちゃんでみるく、茶色くて可愛い方はナッツみたいな色だしみるくの妹だからくるみと名付けたそうです。
安直ですが彼女らしい、そして兄弟のことを考えたネーミングセンスで小生は悪いとは思いません。
小生がその子の家に遊びに行くたびにみるくとくるみを抱っこさせてもらっていましたね。
そんなある日、小生は花田くんにうさぎカフェなる猫さんカフェの亜種に誘われました。
小生も小さく懸命に動くもふもふを撫で回すのは嫌いではなく二つ返事でOKを出し花田くんとうさぎさんカフェの近くの駅で待ち合わせました。
彼女の懸命なところは時間を死守するところで寝坊したという連絡が来たのに待ち合わせ時間の5分前には現地に来ていました。
「遅れちゃった〜!ごめん!」
なんてお気に入りのゆるふわ姫カットを揺らしながら。
その後小生と花田くんは駅近ビルの参階に位置するうさぎさんカフェに入場料金と餌代を払って思う存分うさぎさんと触れ合ったね。
花田くんは終始
「かわいい!」
「親バカなアタシも唸るレベルでくるみとみるくといい勝負!」
「お前もうちの子になるかぁ?」
「かわいいなぁ〜!!」
と言った感じでウサギをベタ褒め可愛いを連呼。
まあ可愛いと言う為に此処に来ているようなものなのでまあいいか小生も推しのにんじんちゃんと戯れていました。
そして時間はあっというまに過ぎて帰ろうとなったところで花田くんから家で鍋を食べようとお誘いが入りました。
実は小生、お鍋や豚汁やら大きい鍋を複数人で囲むのが大好きでしてね。
これは嬉しいお誘いだと途中コンビニでお酒などを買い込んで花田くんの家にウッキウキで向かいました。
玄関の鍵を開ける花田くんの鍵についているキーホルダーももちろんウサギでした。
入ってすぐが彼女のリビング兼食事処なのですが机の上にはもうすでにガスコンロが置かれています。
なんでも元々今日誘う予定でお鍋も冷蔵庫に入れて温めるだけで食べられるようにしていたようで小生素直に彼女の手際の良さに感動してしまいました。
そして急いで火にかけ、買ってきたお酒の缶をぷしゅりとやりましてね、花田くんといっぱいやり始めました。
世間話や大学の提出物の話なんかをしていると土鍋の穴から湯気が出ていい匂いがしてきました。
完成なようで蓋を開ければ白菜や肉やらキノコやらが塩味のスープに浸っていて電気に照らされてなんともチープで美味しそうで、小生は早速頂きました。
肉も野菜もとろとろで味が染み込んでいて絶品です。
お腹が空いていた小生たちは夢中で食べすすめました。
そしてひと段落したところで小生はふと思った疑問を口に出しました。
「今日はうさぎさんは出さないんだね。」と。
お鍋のためのガスコンロのせいかと思っていましたが彼女が語った理由は全くの別物でした。
「え?何言ってるの?もう出したじゃん。」
生憎小生には見つけられません。
隠れているのかとそこかしこを見渡しましたが見つからず見つけられないことを伝えると花田さんは笑って言いました。
「違う違う、お部屋に出したんじゃなくてお鍋として出したじゃん!」
「つまり小生たちが美味しく頂いたこのお鍋のお出汁やお肉がみるくちゃんとくるみちゃんなんですね」
「そうそうそう言うこと〜!
アタシね、常にみるくとくるみが可愛くて食べちゃいたいって言ってたでしょ?
昨日ついに我慢できないくらい可愛い写真が撮れちゃって思わず捌いちゃったの〜!
でも一人で食べるにはちょっと多いし、一緒に可愛がってくれた■くんにもご馳走しようと思って!
結構筋は多かったけど意外と美味しく食べられちゃったね!」
とのことでした。
確かに可愛くて食べちゃいたいと言っている人はよく見かけますが彼女のように実際に食べる人間は初めて見ました。
そして知らずのうちに共犯者にする人も初めて。
小生たちはそのあと残ったスープで締めラーメンを食べてその日は解散しました。
小生もウサギは初めて食べましたが結構美味しく、これならまた食べたいとも思いましたね。
その後卒業するまで花田さんはペットを飼うことはなく、大学を卒業すると同時に結婚しました。
最近そんな彼女からハガキが届きましてね。
彼女双子の女の子が生まれたそうです。
お姉ちゃんの名前が
母親になった彼女の腕の中で眠る双子に写真の横に彼女の肉筆のメッセージが読めました。
「とっても可愛くて目に入れても痛くない子たちです!
可愛いが溢れてどうしようもない!
今度見においでね!」
また彼女の大好きと可愛いが爆発した時、今度は初めて小生は人肉を食べることになるんでしょうか。
花田 28歳 初めての講義で隣になったことから交友関係。
身長156センチ体重55kg 可愛いものが大好きな女子力の塊。
二児の母で旦那はサークルの先輩。
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