不純愛

杉原亮

第1話「新宿の夜に生きる」

リカ モノローグ

私の人生はいつも選択の連続だ。


誰かに寄り添うこと、愛し合える関係を築くことは本当に難しくて、必ず選ばれる人間と選ばれない人間がいる。


私はその「選ばれない」人間なんだと、心のどこかでずっと思っていた。


大人になるってことは、もしかしたら孤独を知るってことなのかもしれない。




新宿の夜に生きる

新宿の街はネオンの光が星々のように輝き、街を彩っている。


きっと自分では輝けない人たちを励ますために、光り輝いているのかもしれない。


「最近、仕事がうまくいってなくてストレスが溜まるんだよ。ななみんみたいに笑顔で楽しくしてる子を見ると癒されるよ」


薄暗い店内で、常連の客が微笑みながら言った。

私は微笑んで、いつものように答える。


「楽しいって言われると複雑ですけどね。でも、お仕事ですから楽しいことばかりじゃないですよ」


「そりゃそうだよな、でも七海ちゃんは本当にいいよ、ななみんスマイルで元気になるよ」


心の奥で、苦笑いした。


表向きは明るく振る舞っているけど、胸の奥にはやるせない気持ちが渦巻いている。


「ありがとうございます。でも、夜の仕事って訳ありなのはわかるでしょ?変なお客さんもいるし、怖いこともあるし、私は普通の生活をしている人の方が羨ましいです」


「まあ、そうだよな、風俗嬢って大変な仕事だよな」


ちょっと見下したような言い方だったが気にしないようにした。


「そうですね。

でもいつか、普通に暮らせたらいいなって思ってます。

…なんか暗くなっちゃいましたね。

気持ちを明るくして、いっぱい気持ち良くなっちゃってくださいね」


本当は心で泣いていたけど、誤魔化すしかなかった。

心が疲弊してしまうから、自分を誤魔化すのに必死だ。


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