私の先生は二つ上
Assuly
第1話 教授って呼んでくださいね
「はわぁぁ」
起きてすぐに大きなあくびをした私は、いつもより身支度に時間をかける。なぜなら今日は人生の大事な分岐点の大学入学日だから。
私は福岡小春、交際経験が少し多いごく普通の女子。交際経験が多いのは容姿が特別いいからではない。押しに弱く断れないから。そんな私が入学するのは私立明光大学。ここは研究に特化している理系の大学で、名の通った教授が数多く在籍している。今年も新しく教授が配属されると聞いてドキドキが止まらない。
「おはよう小春!」
「おはよう奈美。」
朝、電車から降りて始めに会ったのは、中学からの親友の伊藤奈美。
「ついに私たちも大学デビューかぁ。」
「奈美、それ高校入学の時も言ってなかった?」
「あれ、そうだったけ?まぁいいじゃん、また一つ大人に近づいたってことで。」
「大学生は大人だけどねっ。」
といつも通り気の抜けた会話をしていると、私たちの入学する大学のキャンパスに着いた。
案内されるままに進んでいき、講堂らしき建物に入り、並べられた椅子に腰をかける。そこには少しピリついた空気が流れている。
数分待つと、
「では時間になりましたので入学式を開式致します。」
とアナウンスが流れる。
それからいくつかの項目が過ぎた後、
「次は新任教授の挨拶です。」
というアナウンスと同時に、講堂の中央にスポットライトがあたる。そこにはまだ二十にもなっていないような青年が立っていた。
「本日はご入学おめでとうございます。私は本日より明光大学の教授として職を持つことが決まりました、朝倉篤志と申します。この大学について、そして社会について分からないことばかりですが、少しでも早く慣れられるよう頑張ります。あと、皆さんより年下ですが、ちゃんと教授って呼んでくださいね。」
耳を疑う名前が聞こえた。
『朝倉篤志』
彼は高校に通いながら自宅で研究をし続け、その研究がノーベル賞候補に載った天才だ。そのニュースはもちろん耳に入っていたが、まさか大学の教授になるとは思ってもいなかった。周囲でもその事実に驚く人が多く、この場にいるすべての人が入学できたことに感謝をしているように思えた。
帰り道、
「小春、朝倉篤志が明光大学に来たってヤバくない?私、これから毎日大学行こっかな♪」
「ね、私も授業のない日も自習しに行こうかな。」
と朝倉篤志に関する話題で持ちきりだった。
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