第22話・サイクル


「う~ん」


ボクは自分のステータス画面を見ながら、

独り言のようにうなる。




――――――――――――――――――――――


病院管理者:ミルトレッド

転生前:安藤あんどう蜜弥みつや


レベル:13


・現在のスキルptポイントは51,770ptです。


・現在の病院内滞在者:4名


滞在者pt:1日/1,860pt


――――――――――――――――――――――




「どうしたの? みっちゃん」


出かける準備をしながら、あおいお姉ちゃんが

話しかけてくる。


今日は街の冒険者ギルドに出かける日で、

朝からみんなせわしなく駆け回っていた。


「ボクのレベルに合わせて、ptも

 加算されているみたいなんです。


 でも今のところ、特に使い道とかも

 ありませんし……

 まあマイナスよりはいいんですけど」


そこへ他のお姉ちゃんたちもやって来て、


「今のところ、食べたり何か買ったりする

 だけッスからねー」


「水もタダで使い放題であるし―――

 水道や風呂をこれほどまでに有難いと

 思った事は無いのである」


「もっとレベルが上がれば、何か出来る事が

 増えるんじゃないかしら~」


そういえば、『治療』だってこの前突然

発動したんだし……

選択肢が増えるのは、何か条件があるのかも

知れないな。


「それより、みっちゃんの方はもう準備は

 終わった?」


「あ、ハイ。

 髪染めやカラーコンタクトは、街に入る

 直前でするので、それ以外は」


今回もボクは―――

お姉ちゃんたちと一緒に冒険者ギルドに

向かう。


この病院には、『物理』『魔力』

『状態異常』無効化がデフォで

備わっているので……

ボクはここで留守番していてもいい、

という話が出たんだけど、


最初にそれを指摘した加奈お姉ちゃんが、

『おまっ!!』『余計な事を!』と、

他のお姉ちゃんたちから袋叩ふくろだたきにあい―――

慌ててボクがそれを止め、


ボク自身もなるべくお姉ちゃんたちと

離れたくなかったので、どこに行くのも

一緒だと言って、冒険者ギルドへ同行

する事になった。


ちなみに、ここから冒険者ギルドのある

街までは歩いて3日ほど。


滞在期間は依頼内容にもよるけど、最長

3日ほどを想定しているみたい。

なので移動も含めて実働時間は10日弱。


冒険者ギルドに行くのは1ヶ月に一度。

残りの20日は病院で過ごす、という

サイクルに決められた。


「おーし、じゃあ……

 『クイーン・ビー』、出発するよ!」


「ういッス!!」


「準備万端である!」


「早く行って、さっさと戻りましょう~!」


最後に詩音お姉ちゃんの本音が出て、

みんなで笑った。


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