第17話・到着と襲撃


「おぉ~、見えて来たねぇ懐かしき

 我が……」


「まずはレストラン行きましょうッス!

 そこでえとかわきを満たすッスよ」


「別に遭難そうなんしたわけじゃないのである」


あおいお姉ちゃんと加奈お姉ちゃんが

病院を遠目に確認した後、理奈お姉ちゃんが

ツッコミを入れる。


「まあ気持ちはわかりますわ~。

 ―――あら?」


ふと、詩音お姉ちゃんの声のトーンが変わる。

何かと思ってボクも病院の方へ目を凝らすと、


「……何かいる!?」


見ると入り口前に、明らかに人間ではない

集団の姿があって―――


灰色狼グレイウルフか」


「ガラス戸に爪立ててんじゃねーッスよ」


そこでお姉ちゃんたちが臨戦りんせん態勢に入る。


「リーダー、群れのようであるが、

 ぶっ放していいであるか?」


「でもそれだと病院にも被害が~……」


理奈お姉ちゃんが魔法の構えを取るのを、

詩音お姉ちゃんが止めるけど、


「あっ」


そうボクが言う間もなく、葵お姉ちゃんが

狼のような魔物の群れに突っ込んで行き―――


「リーダー!!」


「ああもうっ、リーダーが討漏うちもらしたヤツは

 僕が遠距離魔法で防ぐのである!

 それでもこっちまで来たヤツは、加奈が

 迎撃して欲しいのである!


 みっちゃんは詩音先輩の側に!!」


理奈お姉ちゃんがテキパキと指示を出すと、

それに従ってボクたちも動いた。




「ふー、こんなモンかね」


リーダーの葵お姉ちゃんが汗をぬぐい、

周囲を見渡す。


魔物は何匹か仕留められると、それ以外は

どこかへ逃げていき……

ようやく病院前に静寂が訪れた。


「灰色狼は解体しておくッスか。

 多分、病院内に保存用とか、そーいうお薬も

 あると思うッス」


「しかし病院には傷一つ付いてないのである。

 頑丈なのか、再生機能でもついているので

 あるか」


「とにかく中に入りましょう~」


お姉ちゃんたちは狼の死体を何体か抱えて、

玄関の受付ロビーに足を踏み入れた。




「あれ? 何だこれ」


「?? どうしたの、みっちゃん」


ボクが思わず声を上げると、葵お姉ちゃんが

聞き返して来る。


僕の目の前には例のステータス画面のような

スクリーンが起動していて、




――――――――――――――――――


病院管理者:ミルトレッド

転生前:安藤あんどう蜜弥みつや


レベル:06


・病院内に魔物の死体が

持ち込まれました。


『持ち込まれた品はスキルptポイント

変換可能です』


・処分しますか?

処分すると、スキルptに加算されます。


             →はい

              いいえ


――――――――――――――――――




「何か、その狼の魔物の死体を処分して、

 スキルptに変換出来るって言ってます」


「マジッスか!?」


「便利であるな」


「不衛生ですし、その方がいいかも

 知れないですわ~」


と、お姉ちゃんたちは賛成のようで、


「じゃあ、処分しますね」


そこでボクは『はい』を選択して……

スキルpt増やしたのだった。



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