第13話・今後の方針


「さて、一通り見回って来たけど―――」


朝食後、お姉ちゃんたちと一緒に

病院内の施設を一通り確認し、


昼食時、またレストランに戻ったみんなの

前で、あおいお姉ちゃんが話を切り出した。


「プレイルームとかあったのは良かったです!

 ゲームコーナーもそのままだったし」


「老人や怪我人のリハビリ用だから、

 ゲーセンのように種類は多くないッス

 けどね。


 それに多分みっちゃんに合わせているから、

 古いゲーム機が多かったッス」


あー、ボクが死んだ後、みんなはそれなりに

生きたから、ボクに合わせると古いって事に

なっちゃうのか。


「だけど、この世界では最新……

 というか文字通り別世界のモノで

 あるからな。


 アレだけで金儲け出来ると思うのである」


「電気代や水道代などの維持コストが

 無いのであれば、ほぼ無料ですものね~。


 王様や貴族、豪商相手に商売すれば、

 一気にお金持ちですわ~♪」


理奈お姉ちゃんに詩音お姉ちゃんが、

ビジネスとして楽しそうに話していると、


「いや、下手したら没収ぼっしゅうモンだぞこれ。


 別世界の施設、機械がほぼ無尽蔵むじんぞう

 使える上、アタシらの前世の知識まで

 加わったら。


 たいていの病人・怪我人を治せる―――

 これを持つ国が世界の覇権はけんを握る事になる」


葵お姉ちゃんが真剣な目で語る。


でも確かにそうだ。

ボクの村だって、今思えば決して医療レベルが

高いとは言えなかったし。


治癒師ヒーラー薬師くすしの人はいたけど……

その人たちによる治療は高価な上、

常に村にいるというわけでもなかった。


「それを考えると、ここが辺境で良かったよ。


 もともとアタシらの隠れ家的な場所だし、

 峡谷きょうこくでもある。

 こんな辺鄙へんぴなところにわざわざ来るヤツが

 いるとも思えねーしな」


「そーッスねえ」


「確かに、好き好んで来る場所じゃ

 ないしのである」


「岩穴の拠点が、病院になっただけですし~、

 ここ、わたくしたち以外知る人ってあまり

 いませんものね~」


みんなが口々に同調して、ボクもホッと胸を

なでおろす。


「つーか、これからどうするか、だよなあ。


 一応冒険者パーティーやっていた

 わけだけど、


 辞めたところで困る人もいねーし、

 ここにいりゃ、食うモンにも困らねぇ。


 何より清潔なトイレと……

 風呂に入り放題―――」


「むしろ冒険者を続ける理由が無いッス」


「何よりみっちゃんがいるし、ここでずっと

 暮らすという選択肢以外に何があるので

 あるか?」


「そうとなれば、冒険者ギルドに辞める

 手続きをしてくるべきですわ~!」


そうお姉ちゃんたちは盛り上がり始めるが、


「いや、冒険者辞めると身分証とかいろいろ

 面倒な事になると思う。


 それに辞めて姿を消す事で、下手にここの

 秘密を探られると厄介だ。


 適度てきど細々ほそぼそと依頼を受けつつ……

 徐々じょじょにフェードアウトする方がいいだろう」


その葵お姉ちゃんの言葉に、みんなが

うなずいた。


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