砂糖菓子のままでいて
翡翠 くらげ
第1章 甘くて苦い
「
桜子とカフェの新作飲んでたじゃん!
いいな~」
「それな~、今度、莉緒と私と桜子でもいこーよ!」
「えへへ、久しぶりに飲んできたよ~
うん、今度、莉緒ちゃんと花奏ちゃんも一緒に行きたい~」
桜子、通称「桜」とは幼稚園からの仲で家
が隣同士の同い年ということで仲良くなっ
た。
正反対のタイプの二人だが、波長があった
のだろう、どこか普通の友達とは違う信頼
関係がある。最近は、遊びに行く機会がな
かった、といっても2ヶ月ぶりぐらいなの
だが彼女らからすると半年以上遊びに行っ
ていないように感じるほどだ。
「そういえば、桜子はー?」
「委員会の用事があったみたいで、そろそろ
来ると思うよー」
「そっか~、委員長は大変だね 」
「そうだねー」
会話が一段落して、一限目の用意をしていると誰か後ろにいる気配がする。
「桜、委員会のお仕事おつかれさまー」
振り返ると予想通りいつもの見慣れた桜がいた。桜子の腰まである髪が風でふわふわと靡いているのを眺める。
「よくわかったね、私が後ろにいるって」
「ずっと見てきているからわかるよー」
桜と授業が始まるまで話して、授業に集中しているといつの間にか昼食の時間になっていた。いつもの友達と音楽室に向かい、ご飯を食べに行く。
音楽室で食べてる理由は、私達の学校は漫画の世界みたいに屋上は普段は開いていないし、空き教室もあるにはあるが埃っぽい。食堂も、そこで買う生徒で賑わってるため教室か中庭しか選択肢は基本的ないが私が去年ピアノを伴奏で弾いたのをきっかけに仲良くなって音楽室を自由に使っていいと鍵を渡されたため、今年の伴奏を練習するついでに友達と昼食もそこでとれるという一石二鳥だ。
「今日も疲れたね」
「ねー、甘いもの食べたぁい」
「わかる、食べたい」
「今度、あそこにできたカフェ行かないー?」
「いこいこー」
などと会話をする。話しているうちにお弁当を食べ終わった。そろそろ練習でもしようかな。背伸びをして腕を伸ばしてると桜に
「ピアノ、弾くの?」と聞かれた。
「うん、今日は自分が弾きたい曲かなぁ」
「そっか、楽しみにしてる」
「うまく弾けるかわかんないけど頑張るね~」
やっぱり好きなのはショパンの嬰ハ短調遺作かな。幻想即興曲とか夜想曲とかも好きだけど今日はこれにしよう。
そっと鍵盤に手をのせる。冷たくて固い鍵盤の感触が心地いい。
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