面接
僕は海野源。16歳、高校生にしてダンジョン配信者。
魔法もスキルも使えないし、魔力もステータスという概念も無いのだが、筋力と格闘技術だけでダンジョンに潜っている。世間は僕のことを異常者と言うのがとても不思議である。
今日はアシスタントの面接。学生で恥ずかしながら金も無いため、面接はデニーズで行わせてもらっている。
アシスタントの応募は一件のみ。ここまで応募がこないということに驚いたが、配信初日で応募が来る方がおかしいか……
そんなことを考えながらドリンクバーでコーラ(レモン味)を飲んでいると、一人の少女が僕の向かい側の席に座った。アシスタントの人かな?
少女は水色の髪の165㎝ほどの身長、顔は整っているが、無表情であり、どこかアンドロイドのような印象を与えている。
「本日はよろしくお願いします。杉田渚です。」
なんかめっちゃスンッてしてるんだけど……
無表情の渚さん。声もどこか機械のような雰囲気だ。
「ああ、よろしくお願いします。その、えーと、それでは面接に移りましょう。」
「はい。」
渚さんは無表情のまま答える。せめて表情くらい変えてくれよ……なんか怖いし……
「それでは、得意なこと、技能について教えてください。」
「得意なことは映像記録と動画編集と可愛さですね。あと、技能といいますか、スキルは『視覚映像完全出力』です。簡単に説明しますと、一度目に映った映像をこのように機械に出力できるというスキルです。」
渚さんは机の上に置いてあった僕のスマホに触れた。すると、スマホには僕の顔がリアルタイムで映し出され始めた。
「すごいスキルですね。それと、そのスマホ僕のなんですけど……」
「ちなみにBluetooth対応もしてます。」
「ハイテクなんですね。あなたはアンドロイドか何かなんですか?」
「いえ、普通に人間です。」
ここまでずっと無表情なのにものすごくツッコミたいし、少し遠慮がない性格なようだが、まあいい。ひとまず採用にしようかな。
「それでは、他に質問はありますか?」
「いえ。特にないです。」
「それでは面接を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。」
面接を終わらせると彼女は普通に帰って行った。
僕はデニーズのドリンクバーをこの短時間で終わらせるのにものすごく勿体なさを感じ、その後、15杯くらい飲んで帰った。
次回、『[悲報]アシスタント、やらかす。』
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