『怪獣 ジセーのクー』 下の下の3


 『モンスター・キラー』は、海のなかに向かって、荒川博士の衝撃銃を何発も撃ち込んだ。


 しかし、手応えはない。


 『む、反応が消えた。』


 『異次元に逃げましたね。』


 『あんたたちには、あきれたよ。』


 川村刑事が、やたら嘆いた。


 『きみ、乗り込んで、事情聴取したまえ。』


 『警部は?』


 『このまま、博士に同行する。命令である。それとも、職務放棄するかな?』


 『むむ。……わかりました。』


 刑事はしかたなく、それに従って、高速船に乗り込む準備に入った。


 『警部、どうぞ。まかせます。』


 博士は、無線機のマイクを警部に渡したのである。


 『あー。あー。こちら、警察省外局第2部、赤地警部です。只今から、まず川村刑事が乗船します。追って救援が来ます。私は、海洋部を調査します。』


 『こちら、高速船ミカエラ。迎えにゆきます。早めに願います。乗客は、くたくたです。あんな怪物、なんで、出るんですか?』


 『了解。それを、調べます。』


 警部は、さらに警察署に連絡を入れた。


 『で、博士、どうしたいですか?』


 『やはり、島に行こう。なんだか、怪しい。』


 『もう、行かないんじゃないですか?』


 『いや、もう、行っているに違いない。キューさんどう思う。』


 『博士、まず、前方にさ迷えるボート発見。3キロ先です。』

 

 キューさんの視力は、鷹やトンビを遥かに越える。


 『はい?』


 警部は双眼鏡にしがみついた。


 川村刑事が、ボートに乗っていったあと、モンスター・キラーは、キューさんの言うボートに急いだのである。


 『あそこだ。あれ!』


 たしかに、小さなボートがいた。釣り船ではない。


 『なんで、こんなところに?』


 『わ!』


 警部がまず、叫んだ。


 そこには、人間の食べかすが2体、横たわっていた。




           ☠️









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