第18話 声を集める運動

新たに提案されている法律がせりちゃんたちの活動を抑え込むためのものであると知り、彼女と仲間たちは危機感を募らせていた。このままでは、せっかく生まれた「真実を語る場所」も、彼女たちの配信も、支配者たちの手によって封じ込められてしまう可能性があった。


そこで、せりちゃんはさらに多くの人々を巻き込み、支配者たちがこの法律を通すことがいかに不当であるかを訴えることを決意した。彼女は、「声を集める運動」を始めることにした。各地で賛同者を募り、支配者たちに対する反対の声を集め、彼らに抗議する力を見せつけるというものだ。


その夜、配信でせりちゃんは視聴者に向けて新たな計画を発表した。


「皆さん、今私たちにはあなたの力が必要です。この新しい法律は、私たちの言論の自由を奪い、真実を隠し続けようとしています。どうか、それぞれの地域で私たちと同じ志を持つ人たちの声を集めてください。そして、私たちが支配者たちに屈しない意思を示しましょう。」


彼女の呼びかけに、視聴者からは「賛同します」「私の地域でも声を集めます」といったコメントが殺到した。せりちゃんの配信は視聴者の心を強く揺さぶり、彼女の信念に応えたいと多くの人が感じていた。


配信が終わると、影の住人や地域リーダーたちともすぐに連絡を取り合い、各地での声集めの作戦が開始された。影の住人は、支配者たちの目を避けるための情報ルートを確保し、地域リーダーたちは住民に密かに声をかけ、支配者たちに知られずに署名を集め始めた。


数日後、せりちゃんの元には、全国各地から集まった声の報告が届き始めた。それぞれのリーダーたちが、周囲の人々の不満や疑問をまとめ、署名という形でせりちゃんに届けてくれた。数はまだ膨大とはいえなかったが、それでも人々の怒りと願いが詰まっていた。


「私たちの声が、届き始めている…」


せりちゃんは集まった声を目にし、その一つ一つに込められた思いを感じ取った。支配者たちの横暴を許さないという決意と、自分たちの未来を守ろうとする強い意思がそこには込められていた。


さらに、ある地域リーダーからは次のようなメッセージが添えられていた。


「私たちはもっと多くの声を集めます。新しい法律がどれほど不当なものであるかを、周囲の人たちにも伝え続けます。あなたの言葉が私たちを変えてくれたように、私たちも周りの人々に真実を伝えます。」


せりちゃんは、その言葉に胸が熱くなった。自分が始めた活動が確かに人々の心に届き、彼らが自らの意思で行動を起こし始めていることを実感した。


その夜、せりちゃんは改めて配信を行い、集まった声と支援者たちの決意を視聴者に伝えた。


「皆さんの声が、私たちを支えています。あなた方一人ひとりが未来を守ろうとするその意思が、私たちの活動を支え、さらに多くの人々の心に届くことを信じています。どうか、引き続き声を上げ続けてください。私たちは、彼らに屈しない。」


視聴者の間で合言葉「月夜の光を信じて」が再び響き渡り、せりちゃんと仲間たちの決意が一つになった瞬間だった。彼らの声は、ただの抗議ではなく、自由と未来を守るための切実な願いそのものだった。


この運動がさらに大きな力となり、支配者たちの権力を揺るがす日が近づいていると、せりちゃんは確信していた。

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