第7話 密かな作戦会議
新たに加わった仲間、ジャーナリズムを学ぶ学生の女性は、せりちゃんたちの活動に刺激を受け、夜を徹して支配者たちの過去のプロジェクトや予算の使い方を調べ上げた。彼女の調査は徹底的で、支配者たちの行動にいくつもの不正が絡んでいることが見え始めていた。
翌日、せりちゃんと影の住人たちは、ネット上で密かに作戦会議を行うことにした。全員が匿名のまま、誰も顔を明かさないが、それぞれのスキルと知識を駆使して協力し合うその姿は、確かな信頼に基づいていた。
会議が始まると、ジャーナリズムを学ぶ女性が調べ上げた結果を報告した。
「支配者たちは、国民の生活向上を謳った予算を、実際には自分たちの私的なプロジェクトに流用しています。その一部が、彼らの別荘の建設費にまで使われていることがわかりました。さらに、偽りの報告書を作成して、その資金の流れを隠蔽している形跡があります。」
せりちゃんは、彼女の報告を真剣に聞きながら、視聴者にどのように伝えるべきか考えを巡らせた。直接的な暴露はリスクが大きすぎる。しかし、少しずつ疑問を植え付けていくことで、支配者たちの権力を弱める道を探ることができるはずだ。
「これは大きな一歩ね。でも、ここで焦るわけにはいかないわ。」せりちゃんは冷静な声で言った。「まずは、視聴者に“彼らが国のためと言いつつ、私利私欲のために資金を使っている”と感じさせる方法を考えましょう。」
影の住人も賛同し、次に進むべき戦略について意見を交わした。彼らは慎重かつ綿密に計画を練り、段階的に情報を配信していく方針を決めた。少しずつ、不正の実態が視聴者たちの間で共通認識となるように誘導し、支配者たちの矛盾に気づかせることが目的だ。
会議の終盤、せりちゃんは静かに語りかけた。
「私たちはこの情報を武器に、彼らの支配を揺さぶり続けるわ。急がず、確実に進んでいきましょう。そして、視聴者たちが“愚か者たちを黙らせろ”という気持ちを持てるように導くの。」
その言葉に、チャットの向こうで仲間たちも静かに決意を固めた。彼らはそれぞれの役割を確認し合い、次の配信に向けて準備を進めていった。
せりちゃんは、秘密基地の静寂の中で一人画面を見つめ、自分の中に湧き上がる使命感を再確認した。ここまで来たからには、彼女にはもう後戻りはない。仲間たちの支えと共に、支配者たちの歪んだ体制に挑む日々はまだ始まったばかりだ。
その夜、せりちゃんは次の配信のための原稿を慎重に書き始めた。「愚か者たちを黙らせろ!」その言葉が、彼女の心に一層強く響いていた。
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