第11話 聖都

サクスムから出発して数十日俺は、とても退屈だった。


「アイデアがぁ、浮かばないぃ」


身体を強化するアイデアを実験ことぐらいしかやることがないのに、何も浮かばないのだ。


「やはり、なにか刺激が必要ですか?」


創作には刺激が重要だと言うし、俺も刺激が必要なのだろうか?


「ヘンカ、ホスィ、シゲキ、ヒツヨウ」


前々から思っていたが、この旅は変化がない。

変化が無さすぎて、俺がソンビになってしまうぐらいだ。


昼は馬車の中でアイデアをだす、夜は野営でアルフレッドと一緒にアイデアをだす、

これを毎日繰り返すのだ、最初は活発に出ていたアイデアも、今では一日一個と言ったところだ。


ていうか暇だ、アイデアを出したいとかではなく暇だから変化が欲しいのだ、

毎日毎日馬車の中にいると狂いそうになる。


「大変ですね、ゾンビになってしまう程とは、ですが安心してください!もうすぐ聖都ですよ!」


セイト!


聖都、世界五大都市のひとつ、エウリア教団の総本山であり中枢、

エウリア教徒なら誰もが夢見る場所である、まぁ俺はエウリア教徒ではないが。


「セイト、オレ、スキ」


聖都にはなんでもあるとかないとか


「そろそろゾンビやめてもらっていいですか?普通に話したいです」


「あっ、はい」


———


白と青を基調とした外壁に、都市の中心にたつ金色の教会、家屋は白く外から見ても神々しさを感じさせるそこは、、聖都だーー、わーーい


聖都の門前に立ち心の中で叫ぶ、

周りに人がいるから配慮しているのだ、さすが俺。


俺は!!ここで!!刺激を得て!ヘルセネ流剣術を完成さる!!


「なぜそこで万歳をしているのかわかりませんが、いきますよアレクさん」


アルフレッドさんに呼ばれ早歩きでついて行く。

「迷子になったら怒られる」これは俺がサクスムで学んだことだ。


聖都を歩く、サクスムより人が多く、人が居ない場所を見つける事の方が困難な程だった、だが不思議なことに屋台や出店が見当たらなかった、サクスムでは通りには屋台や出店があったのだが。


「アルフレッドさん、なんで聖都には屋台や出店がないんですか?」


「あぁ、それは法律で禁止されているからですよ、確か通行の邪魔になるからって理由だったはずです」


「はぇ〜ありがとうございます」


「聖都は人が多いですからね、今度は迷子ならないでくださいよ?」


護衛騎士の1人が言う


「なりませんよー、俺をなんだと思っているんですか」


さすがにならない、前回散々怒られてもう懲りてる、俺は学習できる男だ。


「着きました、皆さんここが今回私達が泊まる宿屋です」


アルフレッドさんの案内で着いた場所はいかにも高級そうな宿だった。


ここなら忘れなさそうだな


「アレク、覚えてくださいね」


「はい、、」


馬車の窓からひょこっと顔を出したエストレア様に釘を刺される。


俺の信頼どこ行った


「アレク、探検には行ってもいいですけど、絶対に迷子にならないでください」


エストレア様にもう一本釘を刺される


「はい、、」


———


宿屋の場所を覚えたので、探検に出る


聖都を探検するのは、娯楽の少ない旅の中での楽しみのひとつだった。


今の俺にはクロッカスを倒したことで貰ったお礼の金がある、どこでも行けるのだ


五大都市の一つ、田舎にいた俺でも聞いた事があるレベルの場所だ

きっと沢山防具屋がある事だろう、甘味処なんかもいいかもしれん、旅の途中ではだべれなかったしな。


(とりあえず、甘味処に行くか!)


近くにあった店へ入る、甘味処にパフェが書いてあるのでおそらく甘味処だろう


店に入り、空いた席に座る、剣を携えてる人間は珍しいのか注目されているが構わん、俺は糖分がほしいのだ


数秒経つ、、、注文の仕方が分からないことに気づいた


(どうしよう、どうすればいいんだ?)


今までずっと村に居たから注文の仕方が分からない、大声で叫ぶのか?、

それとも何か暗号みたいなのがあってそれを使うのか?


とりあえず俺は大声で注文を伝えることにした


「パフェひとつお願いします!」


店内に居た客の目がこちらに向く


剣を携えてるだけで注目されているのにさらに注目された、どうやらミスったようだ


死ぬほど恥ずかしい


と、そこで一人給仕服をきた少女がこちらへ来る。


「すいません、お客様、注目を伺うのが遅くなりました、、、その、次からは店員が来るまで静かにお待ちしていただけるとありがたいです」


どうやら店員が来て、注文を伝えるタイプだったようだ


とりあえず注文を伝える



———


どうにか甘味処でパフェを食べ終えた俺は店を出る


もう二度と行きたくない、恥ずかしすぎる


(切り替えていこう、次は防具屋だ!)


色んな意味で腹いっぱいなので次は防具屋だ


しかし10分くらい歩いて俺は気づく防具屋がないことに


サクスムなら二個は防具屋が見つかる時間だ


俺は、歩行者に店を聞くことにした


「あぁ、防具屋?どこだったけな、一個はあったと思うよ?」



「知らないよ」



「あぁ確かあっちだった気がするけど、いやあっちだっけ?、、、忘れたわ」


皆知らなかった、なぜサクスムにはあったのに、聖都にはないんだ?


もう1回通行人に聞いておく


「知らねぇなぁ、聖都周辺じゃ魔物は出ねぇし、魔素生物が出ても聖騎士団が討伐しちまう、防具なんて使わねぇさ」


ということで、俺は泣く泣く宿屋に帰ろうと思ったが、


「宿屋どこだっけ」


時刻は昼下がり、そろそろ宿屋に帰らないといけない時間である

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