第6話
「ママにも部下の美人な女の人のお家にお世話になるって聞いてたんです」
「だからそんなに怖がってるんだ?」
「あ…」
聞かれて顔を上げるとやっとまともに顔が見れた気がした。
ママ、女の人ではないけど美人な男の人です。
「けどさ、我が儘言って日本に残ったんだよね。社長にも一緒に海外で暮らさないかって聞かれたのに自分の意志で日本に残るって決めたんでしょ」
「…ごめんなさい」
ママの海外勤務が決まったのはほんの1週間前のことだった。
子供服の企画・販売をしてる会社の社長を務めるママにはある夢があった。
日本の子供服ブランドを海外に広めるという夢。最低3年は時間が必要と私に話した。
ママと離れて暮らすのは嫌だったけれど、急なことだったし高校にもやっと馴れてきた。
それに…海外で暮らす自信が私には無かった。
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