第2話
女神さまから雑巾をぶつけられた翌日のこと、俺は再び学校の裏庭にある大きな池の前に来ていた。その手には、一粒のチョコレート。『キャンディ包み』のような形で包装してあるチョコレートだ。それを池の中に放り込む。すると程なくして、池の表面に波が立ち始めた。昨日と全く同じ光景。やがて池の中央付近から一人の女性がズボッと現れる、女神さまだ。彼女はやはり穏やかな笑みを浮かべている。
「このチョコレートを落とし───。なんだ、昨日のクソガキか。今度はチョコを落としたのか?」
どうやら二回目ともなると、お決まりの文言は省略されるらしい。それに穏やかな笑みは消え、不機嫌そうな顔をしている。
「昨日のお詫びというか、良かったら食べて下さい」
「・・・なるほど、貢ぎ物か。殊勝な心掛けだな」
女神さまの顔には、再び穏やかな笑み。しかしその直後、またもや見事な投球フォームを見せる。そしてチョコレートを俺の顔面に叩きつけた。
「んなモン、食えるか!! 包みの中に水が入ってんだろが!!」
そう言い放ち、女神さまは池の中へと消えていった。
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