熱と咳と夜

水星虫

第1話

熱にうなされ、汗をびっしょりかいて、深夜3時にあなたは目が覚める。

服を着替え、下の階に飲み物を取りにいく。

自室へもどるついでに、両親の寝室、弟の部屋に声をかける。

「こんばんは、お父さんお母さん。おやすみなさい」

「眠れているかい弟よ、おやすみ」

もちろん返答はないがあなたは満足してベランダへ出る。

涼しくなってきた夜風があなたの肌をくすぐる。

あなたは夜の空気を肺いっぱいに取り込み、吐き出す。

マスクを外した開放感に浸る。

今、私と同じように眠っていない人は居ないのだろうな。

静まり返った街を眺めながらあなたは一人思いを巡らす。

「ゴホッ」

唐突に喉の不快感があなたを襲う。

「ゴホッゴホッ」

咳も出てきたか、とあなたは思う。

ようやく咳が落ち着いたあなたは、ベランダから布団へ戻る。

気休めの薬を飲み、冷えピタを取り換え、瞼を閉じる。

とっくのとうに気持ちの整理はついている。

明日、起きれるかどうかを考えながらあなたは微睡の中へ落ちていく。

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熱と咳と夜 水星虫 @suisei_musi

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