第四章 神と仕事と大災害と

第30話 復興開始!

 サルジニルグの復興が開始した。

 ……といってもなにか特別なことをするわけではない。


 まずはこの真っ緑の土地を開拓することから始める。

 開拓をするといっても何をしたらいいのかはわからないが。


「いやー大災害の影響をもろに受けておるな。まあ、大きかったからな」


「…………」


 ベーゼルがそういうとルナは黙って俯く。


「悪かった。今のは失言じゃ、忘れてくれ」


 ルナのその顔を見てベーゼルは咄嗟とっさあやまる。


「いいよ。別に」


 ルナはそういうが、言葉にかげりが見える。


「なあ、大災害ってなんだ?」


 俺がベーゼルにそっと耳打ちする。

 ルナに聞くのは流石に野暮だからな。でも気になる。


「なんだ?お主聞いていないのか?」


 ベーゼルも俺の質問に小声で返してくる。


「ああ。名前だけしか」


 まあ、言うのが辛いっていう事しか知らないしな。

 ルナにはとてもじゃないが聞けない。


「そうか……。だが流石にルナがいる前では言えん」


「わかった」


 俺はそう言うとベーゼルから離れる。


「ルナ。俺は何をしたらいい?」


「う~ん。クロスの出番はまだないかも」


「そうか」


 俺はまだ働かなくていいのか。


 まあでも出番は来るって言ってたし、絶対『万物製造ポゼッションメイキング』使わされるよなあ。


 今働かなくていいという事実よりも、いつ働かされるのかを考えるとは……。

 社畜って辛い。


 別にいいけどな。


 にしても、大災害ってなにがあったんだろう。


 ベーゼルは今、邪神の力を最大限活用し、草を刈る。という仕事をしているので、話は聞けない。


 クレイトもメイさんも大災害に関しては何も知らなそうだしな。


 とりあえず、ベーゼルの仕事が終わるのを待つか。


 ―――― 数時間後 ――――

 

 ……。邪神の力ってすごいんだな。

 あんなに生えてた草を、ものの数時間で片づけてしまった。


 いってなかったが、サルジニルグの面積は日本の半分くらいらしい。


 あと、金の単位についての話だが、この世界での金の単位は一律で「ZR」らしい。

 ちなみに、1ZR=1円らしい。

 日本と金の単位が同じだそうだ。


 分かりやすくていいね。


 俺がそんなことを考えていると、ベーゼルが戻ってくる。


 どうやら少しだけ、魔力回復の時間を与えられたそうだ。


 休憩時間があるだけ、まだホワイトだなぁ……。と考えていると一つの罠に気付く。


 これ、無給だわ。


 ホワイトに見せかけたブラック。

 ボランティアって言葉を使うとよさげに聞こえるが、実際のところただの無給なので、俺はボランティアという言葉があまり好きじゃない。


 寧ろ嫌いまである。


 仕事って言われていったのに、給料の振り込みがないなと思って、確認の電話したら、上司に「なにいってんの?あれはボランティアだよ」って言われた俺の気持ちを考えろ!


 ……まあ無理ですよね。わかってます。


 普通はボランティアってわかってやるものですもんね。


 でも、俺の会社はそんな常識通用しないんだ。


 本当に、辞めれてよかった……。

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