第22話 サルジニルグへ帰還

 帰りもまたパミーフクスで拾った、馬車に揺られ、追放宣言されたクレイトとそのメイドのメイさんと共に、パミーフクス都心で降り、後は歩きで、魔王の国サルジニルグへと戻ってきた。


 また、馬車でメイさんに説明を受けたのだが、クレイトは魔力視目者まりょくしもくしゃで、魔力を視ることができるらしい。


 そして、ここ数年で地下魔力ちかまりょくが暴発し、大きな揺れとなるそう。


 ちなみに地下魔力とは、地面が持っている魔力のことらしいのだ。

 そしてその地下魔力には魔力域まりょくいきがあり、その魔力域を侵入しあうことで、形の違う魔力がぶつかり、大きな揺れを引き起こすらしいのだ。


 さらに、魔力とは形が違うとぶつかるものであり、魔力が違うものと闘うのならば、魔力そのもので戦闘もできちゃうらしい。


 クレイトいわく、ルナの魔力は「黒魔力」と呼ばれるものだそう。


 専門用語ばっかりで頭がおかしくなりそう。


 そして、その震源の中心となるのがオリエンルだそう。


 なので、次期王子のクレイトが愛想悪くすれば国民も辟易して、この国から出ていくだろうと思ったそうなのだ。


 もっと他にやり方はあった思うが、あの口の悪さは民を思うものだったらしい。


じゃあ、なんで俺には口が悪いままなのかな?あ?


 だが、現実は違う。クレイトの思惑おもわくは失敗に終わった。エラガンスが第一王位継承者になるそうだ。


 そして、クレイトはエラガンスから感じる魔力が「闇魔力」と呼ばれるものを発しているそう。


 闇魔力は基本、悪魔が使う魔力らしい。


 なのに、エラガンスが闇魔力で魔法を使っているのはおかしい。そういうのだ。


ちなみにブラット家の継承魔力は「白魔力」らしい。 


悪魔、もしくは悪魔と契約した。

 その可能性があると、そういうのだ。


そして、バルメントもまた無能力者なのだ。


 悪魔は人間をそそのかす。

 それは間違いではないようで、実際に悪魔と契約を結んだ者の末路は酷いものらしい。殺人鬼になったり、国家反逆者になったり、と。


 そんな歴史があるからこそ、エラガンスが王に即位するのはまずいそう。


 少なくとも地震発生まで時間タイムリミットはあるので、その間にサルジニルグで解決策を練りたいそうだ。


 まあ、特に断る理由もなく受け入れた。

ルナがな。


 サルジニルグを復興させることと、もう一つオリエンルの国民を大地震、悪魔から守ること、この二つが今後の彼らの課題となりそうだ。


 って、いうか。旅行券当たった意味全くないじゃん。

 オリエンルには旅行しに行ったはずだよな?


 一泊もせず帰ってきてるんだけど……。


 どうなってんの?これ?

 まあ、急いでたから仕方ないけどさあ……せっかく行くんなら海外旅行は楽しみたかった。


 俺のそんな思いは誰にも届かないんだがな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る