百合花短編小説

@sacura

第1話

うちには好きな人がいなかった。

けど、想い出に残る先生がいた。結婚指輪をしてる女の先生。


「うち、先生のこと嫌いやけんどさあ」



うんとは一言も発せずに、美人な私の担任の先生は口を閉ざした。



「一番幸せになって欲しいやん、やっぱ好きな人にはさあ」



と屈託のない笑顔で言うので先生は泣いていた。


「先生、失恋したん?」


「うん、」


「そっか」


うち、めっちゃ好きや、先生のこととは言えずに。

彼女のリングを触ってみた。取らないでね、一生と。

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