マッチの火は儚く消える

櫻井

第1話  煙草

僕が家に帰ると、彼女は料理を作っていた18:30 いつもの時間で料理に集中していて僕の帰りなんて気づくことはない、彼女は料理が苦手でレシピと睨めっこしながら毎晩作っている、一度バックを書斎に置き「ただいま」と声をかけると彼女はびっくりしたかのように「おかえり」という、これはうちである日常の光景だった。

「そんなに料理頑張らなくていいぞ」と言ったこともあったが「私はあなたの為に料理を頑張りたいんです」という言葉を聞いて、この子は良い子だと抱きしめたこともあった。なのに三日後彼女は自分の荷物だけをもってどこかへ消えてしまった。

実家に電話しても彼女の行き場所は知らないという、僕は慌てても仕方ないので君が好きだったマッチで煙草の火をつける、僕はどっちかというとライター派だったが君がマッチにしてほしいっていうからマッチにしたんだっけと、今では関係ない話を主出す。元々は君は煙草が嫌いだった、タバコのにおいすら受け付けない女の子がヘビースモーカーの僕と一緒にいるといやでも煙草のにおいを嗅ぐのでたばこのにおいが平気になってきたが君の前ではやっぱり煙草を我慢すう、君に煙草くらいでは嫌われたく無し思っていたので君の前で吸うことはなかったのだが、君が気を利かせて「マッチでならタバコ吸っていいよ」と言ってくれた、なんでマッチなのかわからなかったが1週間くらいたった頃彼女に「なんでマッチなの?」と聞くと「お父さんがマッチで火をつけてたから懐かしく感じるんだよね」と言っていた。

彼女のお父さんは肺がんで亡くなっていた、そこから彼女は煙草嫌いになった。

煙草に殺されたと思った彼女は遺品でもある関連のものを捨てた、お母さんはそれに見かねて泣いていた、彼女の煙草を恨む気持ちは分かったから。

彼女は僕に「タバコでは死なないでね」とずっと言っていた、その彼女は今どこにもいない、レシピと睨めっしながら料理をしていた彼女、煙草を吸いすぎると怒る彼女はもうここにはいない、僕は彼女になにをしたんだろう、思い当たる節は一つもなかった。ずっと彼女のそばにいたいという事実はあったが彼女がいきなり出ていくという事実に驚愕していた、僕はも一本の煙草にマッチで火をつける、三本立て続けに吸ったら怒ってくる彼女の姿が目に浮かぶ。「あなた吸いすぎじゃない?」って片手にはレシピ、片手にはおたまで怒られたこともあった、そんな彼女が愛おしくて抱きしめたこともあったがその彼女はもう僕の前にはいない。。きっとどこかで元気で煙草を吸わない人と元気にやっているのかもしれない。

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