第7話 迷子

 慣れた営業ルートの帰りに突然道がわからなくなってしまった、同じ番地の書かれた電信柱に三度辿り着いたところでいよいよ混乱を極め例の先輩に電話で泣きつき帰社への道を教えてもらえることになる、ただその道が変な経路ばかりでいきなり回れ右をしたり民家の裏庭を通らされたりと散々だった、職場に戻りついて早々に感謝よりも文句が口を突いて出たが先輩は軽く笑って取り合わない、無事に帰ってこれただろうがと言われてしまえばそれまでで、もし、先輩の道案内がなかったらどうなっていたかと考えると今更ながら背筋を冷たい汗が伝った。

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