空色杯16(500文字未満の部)

mirailive05

サクサクッ、と足元で

 登校中、田んぼの中のあぜ道で、そっと足を進める。


 サクッと霜柱がつぶれる音がした。


 ついこの間まで夏だったのに、ふっと秋が通り過ぎて、冬がすぐそこまで近づいていた。


 日差しは弱くなったけれど、空はとても澄んでいて、今のほうが世界は彩られているようだった。


 高い高い青い空。


「なんて言ったかな、ホリゾンブルー?」


 セーラー服の上に着たコートの襟もとを、少しだけ緩める。


 クラスの子のほとんどは苦手っていうけれど、そうかなあ……


 ひんやり心地いい空気と、やわらかでくっきりした日の光。


 わたしが大好きな、透明な季節がすぐそこに。


 サクサクッ、と足元で。

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