第17話 Love so sweet(17)

疲れきって自分の胸の中でまどろむ彼女に



「なー。 ほんまは。 おれがゆうこの最初の男やったんやろ?」



心浮かれて



そんなことを口走ってしまった。



どう考えても



全く彼女の身も心も



男慣れしてないのが丸わかりで



もー、どんどんおれが教えたる



と意気込みたいほどだし。



ゆうこは目を閉じながら少しだけふっと笑って



「・・そんなわけ。 ないじゃないですか、」



すっごく優しい声なのに



思いっきりの否定をされた。



「は? ちゃうのん?」



思わず我に返った。



「いちおう・・違いますって言ったでしょ、」



ゆうこはパチっと目を開けて、意地悪っぽい笑みを浮かべた。



「え~~、ちがかったん??? けっこう・・ショック、」



処女っぽい



リアクションはひょっとして演技??



「ま。 限りなく・・そうとも言えますけど、」



また想像をかきたてるようなこと言っちゃって。



「めっちゃ悔しいなァ。 んなら、もっとすごいことしてみる?」



ふざけてまた彼女を押し倒した。



「あー、もういいですから。 ほんっとに、」



今度は本気の迷惑で



そう言われた。




でも。



これでなんだか



ほんまに



『夫婦』



になったって感じがする。




「ね。 どうだった? 試してみた?」



翌日も仕事で打ち合わせをすることになったナンちゃんは



南が資料を取りに行っている隙に小声で聞いてきた。



すんごく気になってたんだろう。



おれは



むふふふふと



本当に



そんな感じの笑いを漏らし



「効いたで~~~。 ほんま。 もう、めっちゃ・・満足、」



満面の笑みで答えた。



「そう! よかったわねえ。 影ながら心配してたわよ、も~~。」



ナンちゃんは喜んでくれたが



たぶん、もうあのクスリは必要ないな



そんな風に思っていた頃。



ゆうこが昨日着ていたスーツの内ポケットから



その『例のブツ』の残りを発見し。



女の勘なのか



それが非常に『淫靡』なモノと疑っていたのだった。

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