トカゲマン

沼津平成

第1話 トカゲマン現る!

 トカーゲマン トカーゲマン

 東京まちに あらわれ すぐ消える

 トカーゲマン トカーゲマン

 そう、まるでしゃぼん玉みたいな……。


 東京の街にそんな曲が流れていた。演歌のテンポをあげたような旋律だ。「北酒場」と同じテンポだ。

 

 雪子は道を歩いていた。ふいに足音が聞こえ――かばんをひったくられた。


「いやー! 警察ー……!」


 そのとき、キラーンという効果音が流れ、退屈したようにトカゲマンが道を歩き始めた。絶対わざと登場してる。


「あなた、……トカゲマン?」


「ああ、そうさ、おれはトカゲマン」


 緑色のマントを被ったトカゲマンは空を舞うと、街に溶け込んでいった。トカゲというよりカメレオンだ。


「いったい何だったの……」


 雪子は泣きながら、トカゲマンが消えていったほうに目をやった。

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トカゲマン 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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