ゴミ令嬢は曇らない!〜家族に見放されても、婚約者に裏切られても、ホームレスになっても、絶対に諦めない少女のスローライフ〜
三月菫@リストラダンジョン書籍化
第1話 神さまは乗り越えられる試練しか与えない
中学二年生になったわたしは、病院に入院することになった。
――検査の結果、大きな腫瘍が見つかりました。ですが、幸い転移はしていないようです。手術をして治る可能性は……
最初、一週間だったはずの入院期間は、一ヶ月……二ヶ月……三ヶ月と伸びていった。
あーあ、せっかく体育祭のリレーでアンカーだったのになぁ。ママとパパに見せたかったなぁ。来年もアンカーになれるかなぁ。
病室で過ごす日々は、退屈そのものだった。
最初のうちはテレビを見ていたけれど、すぐに飽きてしまった。
代わりにのめり込んでいったのが、本の世界だった。
もともと漫画くらいしか読むことのなかったわたしだけど、入院してからは、いろいろな本を読むようになった。
――手術の日程が決まりました。並行して投薬治療も進めていきましょう。薬で腫瘍を小さくできれば、手術の負担も減らせます。なお、この薬の副作用は――
入院生活で、特に長く感じるのは夜だった。
昼間はママが一緒にいてくれるけれど、夜は独りぼっち。
しかも、この間、飲み始めた薬のせいなのか、熱がでて、身体のあちこちが痛む。だから、一度目が覚めてしまうと、なかなか寝付くことができない。
こんなときは本を読もう。
本の世界に飛び込めばいい。そうすれば、つかの間でも、さみしい気持ちを忘れられる。
特にわたしが好きだったのは、異世界転生モノだった。
トラックにはねられたり、病気で死んじゃった主人公が、ファンタジー異世界でのびのびと自由気ままに生きていく。
子どものわたしでも思わず笑っちゃうくらい、ご都合主義満載だったけど、今のわたしにはそれくらい気楽な物語があっていた。
この前、ママに、わたしがもし死んじゃったら異世界に転生してみたいと冗談で話したら、ママは大きな声を上げて泣いてしまった。
ごめんね、ママ。
ほんの冗談のつもりだったんだけど。
――手術は完了しました。後は転移がないか、経過観察していきましょう。
うんざりするくらい長い入院生活。
終わりはまだまだ見えない。
でも、わたしは頑張れる気がする。
なぜなら、この前読んだ本に、今のわたしにピッタリの、素敵なフレーズを見つけたからだ。
神さまは乗り越えられる試練しか与えない。
だから大丈夫。
苦しい薬も飲み切ったし。
痛い手術も乗り切った。
さみしい夜も我慢した。
神さま、わたし、頑張りました。
だから、お願いです。
はやく退院できますように。
――残念ですが、腫瘍の転移が確認されました。これからは、痛みを緩和する方針に……
あれ、ママ。どうしたの? なんで泣いてるの?
泣かないで? どうしたの?
大丈夫だよ、知ってるママ?
神さまは、乗り越えられない試練を与えないんだよ?
だから、わたしはきっとよくなるから。
だから、ママ泣かないで?
――先生! ――さんの容態が急変しました!
――至急、ご家族に連絡を。おそらく今晩が……
……ん。
……あれ、ママ……パパ……お兄ちゃん……おばあちゃんも……どうしたの……?
なんで泣いてるの……?
泣かないで……
パパ、ママ……
お兄ちゃん……おばあちゃん……
みんな……
大丈夫だから……
わたし、絶対に元気になるから……
だって……知ってる……?
神様は……絶対に……乗り越えられる試練しか……与えないんだよ……
だから……
わたし……頑張るから……
わたし……
…………
………………
……………………
――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございます!
カクヨムコン10・異世界ライフ部門エントリー作品
転生少女のほのぼの前向き人生大逆転のスローライフ物語、本日連載開始です!
初日は2話更新。
3話以降は毎日16:02に更新予定です。
10万字は書き溜め済み。
毎日更新でお届けします。
カクヨムコン読者選考突破のため、
少しでも面白かったと思ったらフォロー、★で応援、よろしくお願いします!
つまらなかったと思ったら星は1つだけでも結構です!
特にカクヨムコンは初動が重要になります!
みなさまのお力をお貸しください!
みなさまの応援が本当に執筆の原動力になります。
何卒よろしくお願いします(*´-`)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます