第27話 アリーチェとイヴァ


 サトシ様の隣の部屋で吸血魔法の索敵を持続しながら睡眠をとっていると、日が昇るころ、私の布団の中にすっと、レダが滑り込むように入ってきた。


 レダは裸のまま私の背中に身を寄せ、そのまま寝てしまったようだった。

 包み込むように抱き寄せて一緒に眠る。


 サトシ様は少し気まずそうにしていた。

 私はサトシ様が満足そうにしているのがとてもうれしい。

 朝食を食べて再びグリーンリザードに跨って火山を目指す。


 火山はムールの街から近い場所だった。

 火山の麓に大きく口を開けた洞窟があり、探索チームの案内でその洞窟に入ることにした。



「私どもも、この先にはまだ行っておりませんが、火山の最奥にそのサラマンダーが生息していると聞きました。」



 サトシ様は途中に現れるレッドスライムや足の長い虫系の魔物を次々とテイムして洞窟内を探索された。


 いくつも分かれ道のある洞窟を進むと、途中からマグマがグツグツと沸き立つ場所にたどり着いた。

 かなりの暑さだろうが耐熱の魔道具で、暑さはさほど感じない。



「おそらく、あの赤いマグマの中にいるやつがサラマンダーなんじゃないかな。」



 サトシ様が見つめる先には体長3mほどの真っ赤なトカゲがいた。

 その体は炎で覆われて、炎が立ち上っている。


 サラマンダーは体を動かさず、炎を操りこちらを攻撃してきた。

 私は吸血魔法で霧を発生させて炎から身を守った。


 サラマンダーの操る炎は、私の赤霧に触れると次々と爆発していった。



「この炎は小さなサラマンダーです。爆発魔法を放っています。」



 先頭で、動き回る炎に大剣で応戦しているノアが声を出した。

 確かに、炎をよく見ると小さなトカゲが無数に集まっているように見える。


 サトシ様を見るとサトシ様は動く炎を撫でるように動き回っている。

 サトシ様が触れたサラマンダーはサトシ様を守るように動き始め、少しづつその数を増やしていった。


「イド、ヴァランテーヌ、弓で援護してね。」


「はい。」



 サトシ様はそう言うとサラマンダーを身に纏い、マグマの上を駆けていった。


 でかいサラマンダーは爆発魔法をサトシ様に放ってきたが、身を纏う無数のサラマンダーに守られてしまっている。


 サトシ様がその大きなサラマンダーに手を触れると、大きなサラマンダーはサトシ様に頭を擦り付ける猫のように懐いた。



「もう大丈夫だよー。

 今回の魔物を見つけたのはルイーザだからこのサラマンダーたちはルイーザに従わせることにするよ。」


「はっ、ありがとうございます。」



 私がそうこたえるとサラマンダーは私にすり寄って来た。



「まあ、かわいいですね。」



 エーヴがサラマンダーの喉元をさわさわと撫でると、ゴロゴロ喉を鳴らして気持ち良さそうに目を瞑った。


 サラマンダーは魔法が得意なようで、魔法で体を少し浮かせて走ることができる。

 そのため、リザードとは比べものにならないくらい速いスピードと安定性を実現した。


 小さな無数のサラマンダーはサトシ様から半分分けていただいたのだが、常に身を纏わせることで魔法障壁のように使うことができた。

 また、得意の爆発魔法で攻撃することも可能だ。


 私の体の周囲には常にサラマンダーが纏わりついて、遠目に見ると燃えているように見える。


 しかし、サトシ様は触れられるだけで魔物を意のままに操り、操る数が多いほど、その力を増していく。

 会うたびに強くなられていて、もう私からはその強さを測り知ることすら、叶わないほどだ。



 私は街に戻り、すぐに勇者庁へ出向いた。



「これはオスカル様、だっ、大丈夫ですか?」



 カロルは私の燃えているよう姿に驚いているようだった。



「ええ、問題ありません。それよりも、今回のサラマンダーの発見、とてもよく働いてくれました。発見した調査チームには特別に報奨を与えてください。」


「ありがとうございます。そうさせていただきます。」


「レダ、調査チームのメンバー一人一人にあなたの体で労ってあげなさい。」


「はい。オスカル様。」



 白い下着を身に纏っているレダはこちらを見てニッコリと微笑んだ。


 唖然とするカロルを取り残して、調査チームのところへレダと向かった。



「オスカル様、いかがされましたか。」



 部屋に入ると、討伐の案内をしてくれた3人の黒尽くめの男たちが地図と向かい合い、話し合いをしていた。



「今回のサラマンダーの件はご苦労だった。私からの礼だ。レダ。」


「はい。」



 男たちはレダの下着姿をチラチラと見ていたが、その一人の胸にすり寄って唇を重ねた。



「何を……」


「一人づつ、労ってあげますわ。」


「えっ……」



 レダは男の服の上から体を撫で回して舌を口の中に入れた。



「いいんですか……?」


「はい。オスカル様の命令ですので。」


 男は豹変したようにレダの体を撫で回し始めてレダと舌を絡ませながら、床に押し倒した。



「あんたのその破廉恥な姿が、頭から離れなかったんだ。」


「いいのよ。無茶苦茶にしても。」



 レダがそう言うとレダの体を貪るように舐め始めて、他のメンバーがいることも忘れ、レダと熱いキスを交わした。


「ああ、いいわ。オスカル様見ていますか?私、あなた以外の男性に犯されていますよ。」


「ああ。よく見ているとも。」



 書物でしか知識のなかった人間同士の交尾についてしっかりと観察できた。


 男はレダとの交尾を行うと、満足げにレダを抱きしめたが、次の男が無理やりにその男からレダを引き離してベッドに投げ飛ばした。



「どんなことをしてもいいんだよな?」


「ええ。あなたの好きなように。」



 レダは前の男の体液を、股から逆流させながら、自分の足を手で抱えて、その液体があふれだす様子を男にさらけ出した。


 男は服を慌てて脱ぎだした。

そのまま、レダを襲うように覆いかぶさり、焦るようにレダの胸を鷲掴みにした。


 先ほどの男は交尾に慣れていたようだが、この男は理性を失った獣のようにすぐにレダとの交尾を終わらせた。


 次の男は交尾が終わった男をベッドから下ろすとレダの体を優しく撫で始めた。


 時間をかけてレダの体の感度のいい場所を探り、レダの反応を見ながら楽しんでいる。


 レダはこれまでの余裕さが無くなり、体を何度も痙攣させたり、汁を吹き出したりした。



「どうだ?早く欲しいか?」


「はい。早くください。」



 そう言うとレダを抱きしめた。

 男は何度も体を発作のように仰け反らすレダを、押さえ込みながら交尾を続けた。



 レダが三人との交尾を終えて足をガタガタと震わせながらベッドから立ち上り、私の方に詰め寄ってきた。


「オスカル様、ご満足いただけましたか?」


「ああ、満足だ。」


「そう、よかった。」



 レダはそう言うと私に寄りかかり、気絶してしまった。

 裸のレダに一部始終を見ていたエーヴが震えながら濡れたタオルでレダの体を拭いた。



「レダ……」



 哀れむような目で見るエーヴには構わずに、グッタリとするレダを肩に抱えて部屋へと戻った。

 途中、ブピブピと音を立て、股から男たちの体液を廊下に撒き散らした。



「エーヴ、素材を売り行くぞ。」


「はっ、はい。」


 レダを心配そうに見ながら丈の短いスカートと半分乳首が見えているエーヴを連れて素材買取所へと向かうことにした。



 素材買取所へ着くと、ブロンドの女が待っていたかのように私の前に立ち塞がった。



「オスカル様、レダをどうしたのですか?」



 この女、確かオスカルの記憶にあった。

 サトウの取り巻きのアリーチェだったか。



「レダを返してください。レダはもうサトウ様のものです。」


「レダは今、自分の意志で私と行動を共にしている。勇者の私が、お前に言われる筋合いはない。」


「そうですか。」



 アリーチェがそう言うと私の後ろに陣取っていた何者かが動き始めた。

 姿を消しているようだったが私の吸血魔法の赤霧を薄く張っていたため、その動向は把握できていた。

 同時に私の体のサラマンダーが防御体制に入った。



「捕らえなさい。」



 サラマンダーは私に急速に近づく何物かにまとわりつき、その自由を奪った。



「イヴァ……」


「イヴァと言うのか、残念だったな。」



 サラマンダーが群がる場所に浪人族の女が姿を現した。



「勇者に逆らった罪、その体で償え。」



 私はサラマンダーに無力化されているイヴァと呼ばれる女と、呆然とするアリーチェの首筋から吸血した。



「アリーチェ、お前たちは何者だ。」


「私はサトウ様の奴隷で、商工組合長の娘です。そちらはイヴァ、サトウ様の奴隷です。」


「商工組合の娘か、色々使えそうだな。」


「何なりとお申し付けください。」



 アリーチェはブロンドの髪を揺らしながら黒い眼鏡をクイッと指で持ち上げた。



「アリーチェ、サトシ様が喜びそうなことは何だと思う。」


「そうですね。まずは金、その次に女でしょうか。」


「金は足りている。」


「でしたら、いい女を用意いたします。私の管理するカルビアの銭湯から融通しましょう。一緒に行かれますか?」


「ああ、そうしよう。」



 シャームからカルビアまではサラマンダーの背に乗っておよそ。

サラマンダーは地面スレスレを泳ぐようにして街道を進んだ。

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