第6話 生徒会長はいかれている

「じゃあ、頑張ってね」


 ニコニコな顔で俺に手を振って教室を出る。教室は俺しか居なかった。


 なんやねこいつと思いながらペンを走り出す。


 てか、何を書くんだよ。反省文十枚って何を書けば正解なんですか? ごめんなさいって何回も書けば許されるかな。


 ペンを置き、考え始める。


 いくら考えても思いつかない。これって終わりじゃないか。


「はは、はははははははは」


 絶対に聞いてはいけないランキング一位レベルの声を聞く。


 この学校は呪われているな。


 俺はイヤホンを着け、曲を流す。


「いやー、やはり素晴らしい、高校生は青春をしなきゃ何も始まらない。君はきっと恋について考えているんだろう。わかるぞその気持ち、私もずっとモテモテで疲れてしまう」


 いやー最近のノイズキャンセルって有能だよな。なんかいろんな声が聞こえるし。


 俺の前で演説を始める、彼女。


「ところで、私たち似ていると思わないか、そこの君」


 イヤホンを貫通するほどの声で、俺に指を指す。


 目が合ったが気にしないで何を書くか考えよう。だってその方が絶対にいいもん。


「そうか、君もそうなのか。私が可愛すぎて目も合わすことができないのか、そんなこと社会では通じないぞ。さあ、私の目を見るんだ」


 ステップしながら俺に近づいて来る。


 そして、俺の前に座る。


「君の目は恋に飢えているな」


「あのー意味が分かりません」


 俺はイヤホンを外し、彼女の目を見る。


「そんな眼差しでみられたら私のすべてを見られているように感じてしまう」

「はい?」


「まあ、落ち着くんだ」


「いや、落ち着くのはそっちだと思うんですけど?」


「私はいつも落ち着いているよ」


「え...」


「まあ、待て、自己紹介をしよう。私の名前は山田早見だ。そしてこの高校の生徒会長だ」


 胸に手を当て、自信満々で言う。


 この人が生徒会長なのかよ。


 姉の言っていたことは正しかったな。


 それで、生徒会会長がなんで俺の所にいるんだ?


「えーと、俺の名前は」


「まて、知っておる。九条裕也だろ」


 占い師かな? 未来を知ってそうな顔で言う。


「は、はあ。その、それで俺になにか用なんですか?」


「そう、急ぐな、私は裕也の隣にずっといるから」


「はい?」


「まあ、要はそういうことだ」


 首を縦に振りながら俺を見つめる。


 あのーどういうことですか? 今のとこ説明はゼロだよな。


「あのー要はなんですか?」


「もしかして今、用と要をかけたのか、面白い」


 腹を押えて笑う、早見。


 何が起こっているんだ。しかもクソつまらないことで笑うのやめてくれよ。


「まあ、私と付き合うってことだな」


「なるほど、なる、ほど、なる。??????????」

 

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