第2話 青春は青春である
「今日はそれぞれみんなになんの委員がいいか決めてもらう」
午後の授業。
委員か。読書委員と学習委員とかあったよな。
何にしようかな。一番めんどくさくないやつにしたいな。クラス委員とか絶対にめんどくさいぞ、だって集まりも多いし、授業とが始まる前の挨拶と絶対にめんどくさい。
「裕也」
「裕也ってば」
「はい?」
彩音に話しかけらていた。昨日の地獄に落してやる宣言以来だな。
「どうしたの?」
「裕也はなんの委員になるの?」
「まだ決まってないな」
「そう」
なんかまともな会話してるぞ俺たち。ちょっと嬉しい。だがその嬉しさは続かない。
「ねえ、一緒にクラス委員やらない?」
「本当に言ってるのか?」
絶対にめんどくさいぞ。だってクラスのリーダになるみたいなもんだぞ。
それに俺がリーダってありえるのか? いやありえないな。
「うん、やろうよ一緒に」
甘い囁きをする。これ断れる人この世にいないぞ。
「分かったよ、でもなんでクラス委員なんだよ」
「地獄に落すため」
ふーん、そうだったのか。って、え? どんだけ地獄に落したいんだよ。
「だから、お願い私がリーダで裕也が副リーダ」
「分かったよ、貸一個できたからな」
「クラス委員をやりたい人」
俺たちは手を挙げる。神様は味方しているのか意地悪しているのか分からないが、俺たち以外誰も手を挙げていなかった。
まあ、挙げる人はいないだろ。
「では、クラス院長は彩音と拓哉に決定する」
クラス内に拍手が響く。
この拍手の中で俺に向けてやってくれている人はゼロだな。
よく、言うだろ。拍手は相手に向けて送る。だから相手に手を向けて拍手をするって。
そう、俺に向けられている拍手は一人だけだ。
全員が彩音の方に向けられている。
で、俺に拍手を向けているのは沙也加だ。
満面な笑みで俺に向けて拍手している。
なんかこえーよ。
俺たちは自分の席に戻って座る。
「いやー裕也も青春してるね」
腕を組み足を組む。俺の方を向き真剣な表情で沙也加は言う。
俺の親かよ。
「何がだよ」
「まさか、クラスで一番の美少女と同じ委員になるとはね、成長したね。うち泣きそうだよ」
「うわー大変だー」
棒読みで俺は言う。
「ところで今日はどこに連れて行ってくれるんだ? 今日楽しみすぎて昨日連絡するの忘れていたんだよ」
「え? そっちが決めているんじゃないのか」
「まさか、初デートで男がムードしないとか青春できないぞ」
なんだよそれ、って、デートって、デート???????
「もちろん用意してるし、安心して」
俺は強がる。
「あら、素敵ね」
突然彩音が俺の顔を見て言う。
「どうしてそんな仲が良さそうなのかな?」
そうだな、俺と沙也加は知り合って二日だ、それなのにどうしてこう親友になっているんだ。
多分沙也加の話しやすい雰囲気が関係しているんだろう。
「わからないな」
「ふーん」
進化したよな今確実に。
「まあ、私裕也のこと気になってるし」
「は?」
「へ」
どうやら、俺の普通の青春は壊れかけている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます