タイプの違うヒロイン達に恋愛占いされてみた結果、ハーレム展開になってしまう。
こまこま
第1話 人生初占い
俺達は他の学校では珍しい部活が存在している。
それは__占い部。
ここでだが、あなたは占いなどのスピリチュアルを信じる人だろうか?ちなみに俺__新凪光圀は、信じる人だ。
☆★☆★
「おい、朗報だぞ!
「朝からなんだ?おねしょでもしたのか?」
「お前……おもんね」
「うるせぇ!」
こいつは俺の友達__元木絆。中学の頃からの関係で、何でも話し合せる仲である。スタイリッシュに、優れた人柄と俺が女性なら絶対に惚れていた。
「で、朗報とは?」
「そうだった。聞いて驚くなよ……なんとこの度占い部の占い券ゲットしました。しかも一番人気の橋川さんだ!お前の分もあるよ」
「本当か⁉」
目が飛び出るほど驚くにはちゃんと理由がある。なぜなら占い部に占って貰える確率は高校3年間で1回でもあれば良い方。占い券は月に一度、校内のどこかで配られており、見つけた時には売り切ればかりと手に入れるのは至難の業。そんなものを2枚も手に入れてくるなんて、一生分の運を使い果たしたと言っても過言ではない。
「今日の分だから放課後楽しみに待ってろよな!」
「ありがとう!」
以前から俺は、占い部に興味を抱いていた。というもの俺は占いが好きで、人生一度でいいから、恋愛占いをしてもらいたかった。まさかこんな急に来るとは思わず、内心ずっとドキドキ。
授業中も将来のお嫁さんについて妄想を膨らましてしまう。
今日の学校はいつもより早く感じ、気づいた時には最後のチャイムが鳴っていた。
「さぁ!いくぞ!」
「おう!」
胸を躍らせながら占い部の部室へ向かうと、薄暗い雰囲気の場所に着く。
そこには俺たちと同じ、占ってもらう生徒たちがズラリと並んでいた。
「やっぱり凄い人気だよな」
「よく当たるらしいからな。絆はどんな結果が待ってると思う?」
「やっぱり美女と付き合える結果でしょう!」
鼻息を荒くして言う。
こいつは裏で、現在進行形でモテており占いなどしなくてもいいと思う。なのに本人はモテてることに気づいていないので占いで彼女を探そうとしている。
全く羨ましい限りだ。
「次の方どうぞ!」
すぐに俺達の出番が来た。
中に入ると真っ暗な空間が広がっており、ロウソクが二本しかない。
俺たちが知っている占いの場所を忠実に再現しており、ここが学校の内にあることを忘れてしまいそう。
そして目をまた先に向けると、占い師定番の紫の羽織を着て、座っている女性がいた。
その女性とは占いだけでなく、学校でも一番人気がある橋川夜月。勉強運動ともにトップクラスでコミュニケーション力も高く、いつも人が集まっている。真っ赤な髪色は明るい人だと放物させ、身長も170cmと女性の中では高身長であり、グラマー・ガールだ。
「先俺行くな」
絆はそう言って彼女の前にある椅子に座る。
「橋川さん俺の恋愛占いお願いします」
橋川さんは首を縦に振り、目の前にある水晶に力を込めだす。
この瞬間は、他人のやつでも気になりニヤニヤが止まらない。
占い時間は短く、すぐに水晶に何かを写し出した。
「見えたよ。あなたはこれから人生で絶世の美女に出会い、よき関係を作るでしょう。その方は案外近くにいるかもしれませんね。それでは良い人生を」
「本当ですか!ありがとうございます」
なんと絆は男の夢である絶世の美女付き合えるらしい。
この結果は羨ましいすぎる。
「次は俺だな。橋川さん恋愛占いお願いいたします!」
再び水晶に力を込めだす。
自分の番だからだろうか、心臓がとてもうるさい。
やがて水晶には絆とは違う何かが写し出された。
「見えたよ……えっ」
どうした?
急に橋川さんは弾かれたように飛び上がる。
身に着けていたフードが外れ、綺麗な素顔をさらけ出す。
「少し待っててね……」
橋川さんは席を外して、少ししてから帰ってきた。
今度はもう一人の占い師__2番人気の星山鈴美も一緒に連れて来た。
「次は私が占いますね……」
「お願いします」
なぜだか分からないが、もう一回占えることになった。
今度こそと思ったのだが……結果を見た星山さんも顔を引きずり、席を外す。
再び帰って来ると、とうとう占い部最後の占い師__
「すいません。最後に私が占います」
占い時間があまりにも長く、周りの生徒もざわつきだすのが聞こえた。
前代未聞。一人を占うのに三人体制でくるなんて……いったいどんな結果が出たらこうなるのか……
夢奈さんが占いを終わり腕を下ろすと、今度は三人とも口元を抑えだす。
「大変いいにくいのですが……あなたの占い結果は__私達ですね。しかも三人ともです……」
「はい?」
私達?これはどういう占いの結果なのだろうか?
こういうのは大体、何歳ごろに出会いがありますよとか、こういう人と相性がいいでしょうとかなのだと思っていたのだが……
俺のキョトンとした顔を見て、橋川さんが付け加える。
「だからですね!あなたの運命の人は私達ってことですよ!」
橋川さんの声が扉を貫通して響き渡る。
これを聞いた俺も含め、周りも啞然とした表情を浮かべたと思う。
えっ!夢?これは現実か?そう思いほっぺをつねったが確かに痛かった。
そして俺は教室を出て、叫ぶ。
「まじかーーーーーーー!」
この結果は思ってもいなかった。
なんとこんな近くに運命の人がいた。しかも学校の美女達。
やがて周りの生徒も理解が追いつきだす。
周りを見渡すと、これを聞いた男子生徒はその場に跪く人も多く、女子生徒は悲鳴が飛び交いだし、廊下はパニック状態だった。
「この人が運命の人?嫌だなーー」
「イケメンじゃない……」
当然、占い師三人も驚きを隠せず困惑していた。
余計な言葉も聞こえてきたが。
「でも三人っておかしくない!」
皆が混乱の中で橋川さんは一番最初に正常に戻った。
「だって日本は一夫多妻制なんて認めてないよ!なのになんで……」
彼女の言葉は最もだ。
しかも占いでこんなにハッキリと人物までわかるものなのかも疑問。
この結果は色々おかしいところだらけ気づいた。
「と、と、とりあえずです。明日占い部に来て!そこでちゃんと整理しましょう」
皆が冷静さを取り戻すために時間を置くことになった。
初めての占いがこんなにも大騒ぎになるなんて思ってもいない。
少ししてから俺も冷静さを取り戻す。
「じゃあ今日は帰ります」
そう言って、まだ混乱中の絆を背中に乗せて、歩き出す。
廊下には都会みたいな人盛りだったが、なんとかくぐり抜けることに成功。
一息つくと、また歩き出す。
「光圀って、女好きだったのだな。あんな美女一人じゃ物足りず三人まとめてなんて……」
「違う!」
この時は思っていた。
占いの結果で三人と聞いた時、もしかしてハーレム展開なのかもと。
しかし現実は厳しいことで……
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