現代ファンタジーと堕天使 ―俺の新しい人生は堕天使らしい―
黒薙神楽
第1話 プロローグ
それは、天使のような見た目をしていたのだろうと思える。見た目は全く違うが。
顔は大量の目隠しで雁字搦めにされ、口は牙と歯を象った今にも噛みつきそうな躍動感あるマスクで隠されている。
翼は三対六翼だが、翼の一つ一つに真っ黒な重々しい金属で覆われてしまっており自由に飛ぶことができなくなっている。
首元には奴隷が使うような、しかし禍々しさが前面に出ている首輪がつけられている。腕と足にも同様に禍々しさの塊の如き枷がつけられている。
首輪と枷には触れるどころか見るだけで呪われそうな程のおぞましい鎖が何処かから現れて繋がれている。
ガシャン!
ギリリィィ!!
ガンガンガンガン!!
鎖を引きちぎろうと天使のようなものは足掻いている。
翼を羽ばたかせようと天使のようなものは動かしては力尽きて止まっている。
どうしょうもなくなって天使のようなものはひたすらに荒れ狂い、暴れ回っている。
ああ、この天使の成れの果ては未だに生きようと足掻いて、藻掻いて、暴れ続けているのだ。なんと滑稽で、愚かで、馬鹿馬鹿しくて、笑えてくるのだろう。
同時に、これほど生に執着しているのが、狂おしいほど羨ましく、妬ましい。
だから…それに見入ってしまった誰かが天使のようなもの……天使の成れの果て――堕天使を解放してしまった。
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!!」
己を封じ続けたこの世界に向けて叫んだ。
この日から世界に存在し、常に封印され監視されていたはずの世界を滅ぼさんとする最強にして最凶たる堕天使が…長き時に渡る封印から解き放たれた。
しかしだ、封印された時間が長すぎた。
いくら禁忌の獣であっても魂は劣化していく。
だが、肉体は封印され続けているため絶対に劣化しなかった。
すると世界に矛盾が起きる。その矛盾を世界は正そうとして、新たな魂を禁忌の獣の中に入れてしまう。
今、堕天使の魂として存在しているのは「叢雲 燐」と言う男の魂だった。
しかし、叢雲 燐は異世界の人間であり、死んだ時に都合良く居たために無理矢理に堕天使に入れられてしまったのだ。
勿論それを神は見ていた。世界に直接手は出せずとも、死した魂であれば手を加えられる。
神は異世界から巻き込まれてしまった男を憐れみ、己の持っている加護と祝福を大いに与えた。それが世界に干渉できない神の、せめてもの救いの手であった。
こうして、異世界の人間が堕天使になって生きていくこととなった。
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ここから先、予定無し。ネタ無し。方針無し。語彙力無し。更新予定不明
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