第28話 繰り返される自己否定
自己否定は、私の人生において根深く絡みつく存在でした。過去の経験やフラッシュバックによって、自己否定の感情が繰り返し心を締めつけ、私を支配し続けてきました。それは、何をしても「自分はダメだ」「自分には価値がない」と感じてしまう感覚であり、その思いから逃れることができないまま、日々の中で何度も私を押しつぶしてきたのです。
自己否定の始まりは小学校の頃に遡ります。他の子どもたちにからかわれたり、変わり者扱いされた記憶が、私の中に「自分は普通じゃない」という意識を植え付けました。その意識は中学、高校、専門学校、さらには就職活動の中でも繰り返し強化され、「自分には何をやっても無理だ」「誰にも認めてもらえない」という思いが心に根付いていきました。
この感覚は、何か新しいことに挑戦しようとするたびに顔を出します。たとえば、支援施設で新しい作業に取り組むときや、人との会話で自分の意見を述べるとき。「どうせ失敗する」「こんなこともできないと思われる」という声が心の中で響き、そのたびに一歩踏み出す勇気が萎えてしまうのです。自己否定は私の行動を制限するだけでなく、未来への希望を閉ざす鎖のような存在でした。
特に辛いのは、周囲の人が優しくしてくれたときでさえ、その優しさを素直に受け取ることができなかったことです。「こんな私に優しくするのは、本心ではないのかもしれない」「きっと表面上だけだ」と、相手の善意すら疑ってしまう自分がいました。それは相手を疑うというよりも、私自身が自分に価値がないと信じ込んでいたからこその反応でした。
自己否定と向き合うためには、自分の考え方を少しずつ変えていく必要がありました。特に、自分に対する言葉の使い方を見直すことが大きなステップでした。「自分はできない」と思ったとき、それを「まだ練習が必要」と言い換えるよう努力しました。また、「自分には価値がない」という思いにとらわれたとき、意識的に「そんなことはない」と否定する練習も始めました。
さらに、自己否定を緩和するために、自分が小さな成功を経験する場を作るようにしました。たとえば、支援施設での作業を終えた後、「今日はこれだけできた」と自分を褒める時間を持つようにしました。最初はぎこちなく、無理やり褒めることに違和感を覚えましたが、少しずつそれが習慣化され、自己否定の感情に押しつぶされる頻度が減ってきました。
自己否定は、今でも完全に消えたわけではありません。過去の記憶やフラッシュバックによって再び強くなることもあります。しかし、自己否定が顔を出したときに、それとどう向き合い、自分を少しでも肯定できるかを学び始めています。自分の中にある否定的な声を「過去の自分の一部」として認めながら、それに支配されずに未来を見つめること。それが私にとって、新しい自分を築くための重要な一歩です。
繰り返される自己否定は、私を成長させるための挑戦であり、それを乗り越えることで、私がもっと自分らしく生きられるようになるのではないかと信じています。その挑戦は終わりのない旅のようですが、少しずつ進んでいけることに、今は希望を持っています。
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