第23話 精神障害の影響

精神障害の診断を受けたとき、私は安堵と戸惑いの両方を感じました。これまでの生きづらさや孤独、自己否定の理由が少しだけ理解できた気がして、ほっとする部分もありましたが、それと同時に「精神障害」という言葉の重みが心にのしかかりました。その現実を受け入れることは容易ではなく、自分が「普通」でないことを改めて突きつけられたように感じたのです。


診断を受ける前は、自分の感じている苦しみや生きづらさが何なのか分からず、ただ「自分が弱いから」「努力が足りないから」と責めるばかりでした。しかし、診断を通して「これは私だけの問題ではない」と知ったことで、自分を責める気持ちが少し和らいだように思います。一方で、精神障害を持つ自分が社会でどのように見られるのか、どんな未来が待っているのかという不安が大きくなりました。


精神障害の影響は、私の日常生活にさまざまな形で現れました。特に、感情のコントロールが難しくなり、些細な出来事で過剰に反応してしまうことがありました。他人の言葉や態度に敏感になり、それがたとえ悪意のないものであっても、自分を否定されたように感じてしまうことが多かったのです。また、幻聴や強い不安感に襲われることもあり、それが日常生活の妨げになることも少なくありませんでした。


これらの影響にどう向き合うかを模索する中で、私は自分自身に対する理解を深める必要があると感じました。精神障害という現実を否定するのではなく、それを受け入れた上で、自分がどう生きていくのかを考えることが重要だと思ったのです。しかし、それを実践するのは簡単なことではなく、何度も挫折しそうになる自分と向き合う日々が続きました。


また、精神障害を持つことへの偏見にも直面しました。「努力すれば克服できる」「甘えているだけ」といった言葉が心に刺さり、傷つくことがありました。こうした偏見にどう対応すれば良いのか分からず、ただ黙って受け流すしかなかったのですが、それが心の負担になっていきました。社会の中で自分の存在がどう受け入れられるのかを考えるたびに、不安と孤独が増していったのです。


それでも、私は少しずつ精神障害を抱えた自分を受け入れ、共に生きていく道を探し始めました。支援施設や医療機関、そして同じような経験を持つ人々とのつながりを通して、自分が一人ではないと感じられる瞬間が増えてきました。そうしたつながりが、私にとっての救いとなり、「自分が持つ精神障害は、自分の一部であり、それを否定する必要はない」と思えるようになったのです。


精神障害は、私にとって大きな挑戦でもありましたが、それと向き合うことで、少しずつ自分自身を理解し、受け入れる力がついてきました。完全に乗り越えることは難しいかもしれませんが、その影響と共に生きる方法を模索することで、私は新しい自分を見つける旅を続けています。この経験を通して、精神障害を持つ自分が、それでも価値ある存在であることを、自分自身に少しずつ伝えられるようになってきたと感じています。

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