混乱とフラッシュバック、過去に戻される

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 記憶の始まり

幼い頃、私は他の子どもたちと少し違っていると感じていました。周りの子が当たり前にできることが、私にはなぜか難しかったり、反対に興味が湧かなかったりしたからです。そんな私を、周囲の子どもたちは自然と「変わった子」と見なすようになっていきました。その「変わっている」というレッテルは、まるで小さな種が心に植え付けられるように、私の中で少しずつ根を張り始めました。


小学校では、友達がどんどんできていく中で、私はどこか疎外感を覚え、集団の中で浮いていると感じることが多かったのを覚えています。なぜ自分だけがこうなのか、なぜ自分は他の子と同じようにできないのかという思いが、まだ幼い私の心を徐々に蝕んでいきました。


当時はそれがどういう意味なのか、何が問題なのかもわからず、ただ漠然と「自分は周りと違う」「どこかおかしいのかもしれない」と感じていました。そして、その感覚は、まるで新しい日が来るたびに自分に押し付けられるようでした。小さな違和感が積もり積もり、私の自己イメージを少しずつ変えていくのです。


記憶の中にあるこの「変わっている」という意識は、小学校の頃から始まったものでした。それがどのように私を形作っていったのかはまだその時点ではわかりませんでしたが、その小さな種がやがて大きな影を私の心に落とすことになるのは、ずっと後になってから気づくことになります。この違和感が、私の物語の始まりでした。

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